VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1466 『タイトル画面』(金田充弘/BLEACH ~ヒート・ザ・ソウル2~/PSP)

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久保帯人著の少年漫画「BLEACH」を原作とする、

エイティングがおくる3D対戦格闘ゲーム・ヒートザソウルより、

金田充弘作曲、2の『タイトル画面』。タイトル画面で流れます。

死神の力を託された青年・黒崎一護が仲間とともに戦うバトル漫画「BLEACH」のゲーム化作品のうち、PSP向けに展開するヒート・ザ・ソウルシリーズの2作目にあたる本作。主にソウルソサエティ編を描きつつ、キャラ別のストーリーや護廷十三隊入隊モードなどが収録されている。前作ではプレイアブルキャラは6人だったが、本作では朽木白哉をはじめとするキャラを追加して計11人となり、いずれもアニメ版声優を起用したフルボイスで楽しむことができる。基本的なゲーム性やアクション性は前作と共通していて、目新しさはすくないものの、手軽な操作で原作らしい動きを再現できる点は健在である。新要素の護廷十三隊入隊モードは、好きなキャラと隊を選んで頂点の隊長になるべく戦闘を繰り返すもので、入隊気分を味わえるのみならず、経験を積んで能力を開花させる育成システムのような役割を兼ねている。相変わらずボリュームは控えめで単調なきらいがあるが、前作と比べて充実した仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは阿部公弘氏、金田充弘氏、崎元仁氏、並木学氏。阿部氏、崎元氏、並木氏は当時、金田氏は現在も音楽制作会社ベイシスケイプに所属している作曲家である。このうち金田氏と並木氏は前作から引き続き作曲を手がけていて、ヒート・ザ・ソウルシリーズにはほとんどのナンバリングにおいて携わっている。また、主題歌にはUVERworldを起用したオリジナルのボーカル曲が収録されている。前作でみられたテクノやハウス系のスタイリッシュなサウンドを受け継ぎつつ、本作では三味線や尺八などの和楽器をフィーチャーすることでオリエンタルな雰囲気を強めている。サウンドトラックは未発売だが、一部の楽曲に関しては作曲者が明記されたうえでベイシスケイプのサイトから試聴できる。

タイトル画面で流れるのがこの曲である。鼓、ストリングス、琴を綺麗に組み合わせた風流なイントロで、たちまち心奪われるような優雅で瀟洒な第一印象を生み出す。5秒頃から落ち着きのあるビートが加わると、荒々しくも理知的に奏でられる伴奏のエレキギターとともに独特なゆとりと格好良さを滲ませる。しばらくは穏やかな和風ニューウェイブのような曲調が続くが、30秒あたりでストリングスがアンニュイでクラシカルな旋律を紡ぐと、すこしバロックめいた雰囲気を感じさせるようになる。そうやって一旦は洋風な響きが強まるが、40~43秒で仕切り直すように三味線を鮮やかに掻き鳴らすと、再び和風な印象が戻ってくる。その後は聴き馴染みのあるメロディーを奏でるが、伴奏で三味線の音色が目立つようになったり、1分8~11秒でストリングスのフレーズに変化がみられたりするなど、随所で以前とは異なる細かな工夫が窺える。1分22秒でじっくり溜めてから1分29秒で例によって三味線を鮮やかに掻き鳴らす際には、前よりもギターと鼓の存在感が増している。聴いているとうっとりとさせられるうえに沸々と闘志が湧いてくる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。落ち着いているけれど適度に刺激があってとても気持ち良いですね。