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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#819 『迷宮都市の戦闘』(阿部公弘/オーディンスフィア/PS2)

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ヴァニラウェアがおくる2DアクションRPGオーディンスフィアより、

阿部公弘作曲、『迷宮都市の戦闘』。タイタニアで流れます。

アトラスとヴァニラウェアのタッグによる完全新作として登場した本作。様々な国が混在する円状の大陸・エリオンを舞台に、亡国バレンタインが遺した強力な魔法の結晶炉・コルドロンをめぐり、五人の主人公がそれぞれの思いを胸に戦渦に身を投じることになる。横スクロール型の2DアクションにRPGの育成要素を掛け合わせていて、あらかじめ決められた順番で五人の物語を攻略していく。絵本や演劇のような作風と、ニーベルンゲンの指環をモチーフにした北欧神話調の世界観、食べ物や料理による成長システムなど、五人の群像劇を彩る奥深い要素が充実している。後に大幅に手を加えたHDリメイク版のレイヴスラシルがPS3PS4PSVita向けに発売された。

本作の音楽を担当するのは阿部公弘氏、岩田匡治氏、金田充弘氏、崎元仁氏、並木学氏。レイヴスラシルの追加曲には工藤吉三氏、千葉梓氏、東原一輝氏も携わっている。現在も在籍している崎元氏と金田氏を除き、いずれも当時、音楽制作会社ベイシスケイプに所属していた作曲家である。ヴァニラウェア製の作品は現在に至るまですべてベイシスケイプが作曲していて、本作ももちろん例外ではない。本作では西洋ファンタジーらしい気品あふれるオーケストラサウンドが揃っている。サウンドトラックはオリジナル盤のほか、レイヴスラシルの追加曲およびボーナストラックの新規アレンジを加えた完全盤が存在する。

東方の歴史ある大国・タイタニアのステージ曲として流れるのがこの曲である。タイタニアは賑やかな城下町と寂れた裏通りが対照的な、光と闇の混在する地域で、壮大で幻想的な曲調には、鮮やかでありながら妖しげでもある、華々しさと物々しさが奇妙に調和している。管弦楽器の壮麗な協奏は、さながら行進曲のように絶え間なく響き渡る太鼓の音色と相まって、美しくも緊張感のあるダイナミックな迫力に満ちている。陰謀渦巻く入り組んだステージにふさわしい、ダークでエレガントな魅力を誇る一曲である。

美しさに息をのむことはあっても、息をつく暇はないような、怒涛のシンフォニックサウンドですね。