ハピネットがおくるファンタジーウォーシミュレーション・ブリガンダインより、
佐藤天平作曲、ルーナジア戦記の『Virtuous Conductor』。
マナ・サリージア法王国の戦闘フェイズで流れます。
1998年に発売されたファンタジーと国盗りSLGの融合作品・ブリガンダインの後継作として登場した本作。マナの力が降り注ぐ大地・ルーナジアを舞台に、それぞれの理想を掲げる六つの勢力が、訪れた戦乱の時代を前に大陸統一を目指すことになる。特殊な装身具・ブリガンダインを纏った五人の君主、もしくは唯一ブリガンダインを持たぬ一人の皇帝のいずれかを選び、騎士とモンスターを率いて大陸全土を制覇するのが目的で、互いに相容れない思想や宗教や歴史を持つ勢力間の抗争と、耽美的なタッチで描かれる100人以上の騎士たちが織り成す群像劇が特徴である。ゲームシステムの根幹は前作を忠実に踏襲していて、クリア後のやり込み要素としてスコアアタックを有するチャレンジモードが存在する。物語上の繋がりはないが、総じて前作から順当に進化した純粋かつ正統な仕上がりとなっている。後にPS4とSteamに移植された。
本作の音楽を担当するのは佐藤天平氏。フリーランスの作曲家で、前作は担当していないが、前作のリメイク版(音楽はすべて新規差し替え)であるグランドエディションで作曲した経験がある。神が宿るルーナジア大陸の、剣と魔法のハイファンタジー調の世界観を彩るにあたって、本作ではコーラスやオーケストラを取り入れた荘厳で重厚な楽曲が揃っている。勢力ごとに編成フェイズで流れるテーマ曲と、バトルで流れる戦闘曲が用意されていて、一度聴いた曲は作中のギャラリーから自由に再生できる。サウンドトラックは限定盤に付属されている。
戦闘フェイズにおけるマナ・サリージア側の攻撃ターンで流れるのがこの曲である。高潔のブリガンダインを戴くマナ・サリージア法王国は、自らを神の代行者と豪語する君主ルド・マルコが率いる大陸随一の強国である。トランペットとクワイアとバイオリンによる、威圧的でありながら優雅でもあるアンサンブルが印象的で、時折挿入されるトライアングルの金属音が、華美な合奏に鮮やかな興を添える。高潔とは名ばかりの、血で血を洗うような過激で強硬で独裁的とも言えるルドの豪胆さを体現した力強さにあふれている一方で、その力強さのなかにはひそかな悲愴感が潜んでいて、決して後戻りできぬ、ひたすら進軍あるのみというスタンスを色濃く滲ませている。王道ではなく覇道を征く君主にぴったりな一曲である。
ルドは他の君主と比べても単騎でかなり強力なユニットなので、曲と相まっていっそう猛々しさに磨きがかかっているような印象を受けます。ちなみに曲名の意味はずばり「高潔な指導者」です。