ナムコがおくる運命を解き放つRPG・テイルズオブデスティニー2より、
桜庭統・田村信二作曲、『BREAK INTO FRAGMENTS』。
改変現代における通常戦闘で流れます。
テイルズシリーズのうち、PS2進出作にしてデスティニーの直接の続編にあたる本作。前作の神の眼をめぐる騒動から18年後を舞台に、前作主人公の息子で、父のような英雄になることを夢見る少年・カイルは、遺跡で出会った謎の少女・リアラの言葉をきっかけに、やがて己の運命と英雄の意味を知る冒険に旅立つことになる。前作の世界観やキャラを一部踏襲しつつ、複数の時代を行き来して物語を進めるタイムトラベル要素が加わっている。ハードの移行に伴ってグラフィックが強化されたほか、戦闘中や戦闘終了時のボイスの掛け合いが追加され、より活き活きとした印象が強まった。戦闘システムはTT-LMBS（トラスト＆タクティカル リニアモーションバトル）を導入していて、SPの管理と仲間との連携を要とする2Dリアルタイム戦闘を楽しむことができる。SPとは、攻撃等の行動で消費され、時間経過で回復するもので、一定値を切ると命中・回避率が下がるため、攻防のタイミングや立ち回りを意識して戦う必要がある。育成要素や周回要素の拡充、戦闘難度の引き上げなど、主にシステム面において従来より拡張された仕上がりとなっている。後にPSPに移植された。
本作の音楽を担当するのは桜庭統氏と田村信二氏。いずれもテイルズシリーズには初代から関わっているおなじみの作曲家で、前作に引き続き作曲をおこなっている。本作では過去・現代・未来のほかに、改変現代や18年前などといった時代も存在し、それぞれにフィールド曲や戦闘曲が用意されている。物語の都合上、聴ける期間が限られている曲もすくなくない。前作からのアレンジもある一方で、本作初出の新曲が数多く収録されていて、総曲数はかなり充実している。サウンドトラックは主題歌を除いて4枚組で収録されている。
改変現代における通常戦闘で流れるのがこの曲である。物語後半にかけて訪れる時代で、カイルたちが元々いた時間軸から歴史が異なり、敵対勢力が幅を利かせて管理社会然とした雰囲気を漂わせている。その異質さを表現するにあたって、この曲は異様にノリの良いグルーヴィーなプログレッシブロック風の戦闘曲に仕上がっている。鮮やかなドラム捌きにオルガンやクラビネットを組み合わせて、非常に派手で力強いリズムとメロディーを奏でる。全体的に歪んだような響きがあり、それによって不穏な印象を生む一方で、特にドラムパートにおいて三連符の中を抜いたシャッフルのリズムを用いることで、跳ねるような疾走感をも生み出している。24秒からはギターが荒々しく鳴り、間奏部分でも激しさを保ち続けるほか、35秒ですこし明るめになったと思ったら、43秒でさらにまたテンションが引き上げられるなど、息つく暇もない曲展開で終始魅せてくれる。非凡な勢いに満ちた一曲である。
