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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1256 『Seasick』(峰岸透/スプラトゥーン2/NS)

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任天堂がおくるアクションシューティング・スプラトゥーンより、

峰岸透作曲、2の『Seasick』。Ver.4.1.0の追加曲で、対戦中に流れます。

ヒトとイカの形態を使い分けてインクを撃ち合うスプラトゥーンシリーズの2作目にあたる本作。対戦モードは前作同様、4対4のチーム対抗で塗った面積を競うナワバリバトルと、より激しい攻防が楽しめる3種のガチマッチ(エリア、ヤグラ、ホコ)が初期搭載されている。新要素として対戦ではなく協力という形で、最大4人で襲い来るシャチを撃退してイクラを集めるサーモンランというモードが登場した。マニューバー(二丁拳銃で撃ちながら素早く移動できる固有アクションを持つ)をはじめとする新ブキ、ブキに付属するスペシャルウェポンの一新、新ステージなども数多く追加された。一人用のヒーローモードや、期間限定で開催されるフェスも健在で、継続的なアップデートによって順次要素が拡張されたりバランス調整が施されたりした。一例としてオンラインでは新ルールのガチアサリ、オフラインではタコを主役とする有料DLCのオクト・エキスパンションがアップデートで加わった。前作から様々な面がブラッシュアップされてますます長く遊べる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは永松亮氏、早崎あすか氏、藤井志帆氏、峰岸透氏。永松氏は当時、他は現在も任天堂に所属する作曲家である。藤井氏と峰岸氏は前作から引き続き携わっているほか、両氏に加えて永松氏が次作でも作曲をおこなっている。本作でも作中世界のバンドが演奏しているという体で、尖った感性を持つ架空のアーティストが多く参加している。作中で前作より約2年ほど時間が経過したことから、流行や各バンドの動向にも変化が生じている。なかでも合食禁という新ユニットは、活動休止中の前作の人気バンド・Squid Squadのベーシストと、電子音楽のトラックメイカーの二人が意気投合して結成したという設定で、個性と実力がせめぎ合うノリノリなバトルBGMを堪能することができる。サウンドトラックについては通常盤、オクト・エキスパンションの追加曲を中心に収録したもの、ライブ音源とアップデートの追加曲などを収録したものがそれぞれ存在する。

2018年10月に配信されたVer.4.1.0の追加曲として、対戦中に流れるのがこの曲である。上述の合食禁のデビュー曲であり、冒頭からボルテージ全開でうねるようなベースが紡がれるヘヴィメタルナンバーである。重く激しく響くベースに対し、シンセがラウドでダンサブルな音色を奏でることで、相乗効果で荒ぶるようなノリの良さを生み出している。25秒頃からはグロウル(低く吼えるような歌唱法)を用いてさらに獰猛な印象を強める。しばらくボーカルを中心に曲が展開するが、36秒でシンセが目立ち出し、42秒から一段と勢力を増してテンションがピークに達すると、47秒以降はボーカルが抜けてベースとシンセが反復的なリフを刻む。何度も繰り返し続けた果てに1分6秒で再び一瞬だけ唸り声をあげると、その後は堰を切ったように派手で豪快なエレクトロニックサウンドが紡がれる。曲名は船酔いを意味するが、まさに轟音の荒波に酔い痴れる感覚を味わえる一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。前作のSquid Squad時代の曲でいうと、ネーミング上で近いのは『Seaskape』で、雰囲気的に近いのはボーカルの印象から『Metalopod』でしょうか。二つともあわせてどうぞ。

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