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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1257 『中ボスバトルFREE!』(工藤吉三/電波人間のRPG FREE!/3DS)

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ジニアスソノリティがおくるRPG電波人間のRPGより、

工藤吉三作曲、FREE!の『中ボスバトルFREE!』。中ボス戦で流れます。

3DSのカメラ機能を使ってキャッチした電波をもとに冒険を繰り広げる電波人間のRPGシリーズのうち、4作目にして基本プレイ無料で登場した本作。プレイヤーは3DSを通して偶然見かけたいじめられっ子の電波人間に頼まれて、みんなを見返すべく伝説の装備を探す冒険に出ることになる。現実世界の電波に潜む電波人間をキャッチし、パーティを組んで冒険に挑むというコンセプトは健在である。基本無料・アイテム課金型の形式に沿うように、ステージ攻略はスタミナ制で、ジュエル(有償だが、無課金でも入手機会はある)を使えばゲームを有利に進められる仕組みである。新要素として世代の概念が加わり、最大9段階で世代に応じて電波人間のレベル上限が決まるようになった。条件を満たすと世代を超えられるほか、2体の電波人間の間で出生した子は上位の世代まで成長可能であるなど、主に育成面でよりじっくりと向き合う必要性が生まれた。定期的なイベント開催や日替わりステージといった定番要素はもちろん、アップデートを介してバランス調整、上限突破、シナリオ拡張などもおこなわれている。ボリュームも遊び応えも十分な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは阿部公弘氏、岩田匡治氏、金田充弘氏、工藤吉三氏、崎元仁氏、千葉梓氏。阿部氏・岩田氏・千葉氏は当時、金田氏・工藤氏・崎元氏は現在も音楽制作会社ベイシスケイプに所属している作曲家である。このうち崎元氏がサウンドプロデュースをおこなっていて、作曲に関してはメインテーマのみ担当している。主に金田氏、工藤氏、千葉氏の三名が中心に作曲していて、金田氏はダンジョン曲と一部の戦闘曲を、工藤氏は戦闘曲と短いジングル等を、千葉氏は拠点関連とジングル等を手がけている。本作は新曲のみならず過去作の楽曲も多く取り入れていて、おどけた雰囲気とシリアスな雰囲気を両方楽しめるサウンドが揃っている。サウンドトラックには流用曲やジングルも含めて収録されている。

中ボス戦で流れるのがこの曲である。イントロからノリノリな電子音を披露して好調なスタートを切ると、3秒からわずかに民族音楽っぽさを帯びた旋律が流れ出す。全体的な曲調はポップな電子音楽然としているが、16~18秒や21~23秒などでさながらオーケストラヒットを鳴らす要領で畳みかけることで、シンフォニックサウンドに通ずる迫力を感じさせる。明るく楽しく、ときに34秒頃などで一呼吸入れて気持ち良く昂揚感を掻き立ててくれる。45秒から再び民族味のあるメロディーが入り、以降も聴き馴染みのあるフレーズが続くが、1分4秒から新パートに突入すると、今まで以上に賑やかでエネルギー全開な印象を与える。限界まで盛り上がった暁には1分35~46秒にて、これまでとはやや毛色が違う、パーカッションのリズムが際立つ間奏部分が挿入され、ループ前のラストスパートを鮮やかに駆け抜ける。通常戦闘よりは身構えるが、大ボス戦ほどは気張った感じがしない、ちょうど中間の戦闘を彩るにふさわしい適度に愉快で刺激的な一曲である。

楽しくて格好良くて緊張感もあって、でも最終的にはやっぱり最初の印象通り、楽しいの比重が一番大きい感じがして、とても快い気分になれる曲ですね。