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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#474 『落花繽紛』(工藤吉三/朧村正/PSV)

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ヴァニラウェアがおくる絢爛絵巻和風アクションRPG朧村正より、

工藤吉三作曲、PSVita版の追加曲『落花繽紛』。

DLCの角隠女地獄(鬼娘篇)における絡新婦戦で流れます。

江戸時代の元禄を舞台に、二人の主人公が妖刀をめぐり大冒険を繰り広げる本作。ベルトスクロール要素の強い和風剣戟アクションRPGとしてWiiに登場し、後に海外版を参考に調整を入れつつ、最適化を施したPSVita版が発売された。絵巻のような質感で描かれる風光明媚なグラフィックが魅力で、二つの視点から日本全国津々浦々を旅することになる。PSVita版では有料DLCとして、新主人公四人による四つの短編シナリオからなる元禄怪奇譚が配信されていて、本編とは異なる新システムが導入されていたり、それぞれ複数のエンディングが用意されていたりするなど、こだわり抜いた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはベイシスケイプより阿部公弘氏、岩田匡治氏、金田充弘氏、上倉紀行氏、工藤吉三氏、崎元仁氏、千葉梓氏の総勢七名。当時ベイシスケイプに所属していた作曲家のうち、並木学氏の除く全員が参加しているという充実ぶりである。本作の楽曲は、純和風な世界観にあわせて、和楽器をふんだんに取り入れた硬派なロックナンバーが揃っている。曲名がすべて四字熟語で統一されていることと、ステージ攻略中は戦闘の際とそうでないときで同じ曲の別アレンジが用いられているのが特徴で、これらの楽曲は、ときに切なく、ときに激しくアクションを盛り上げてくれる。DLCでは作曲家一人が一つのエピソードをほぼ専任していて、化猫篇は工藤氏が、一揆篇は千葉氏が、白蛇篇は金田氏が、鬼娘篇は岩田氏が主に担当している。サウンドトラックはオリジナル版、アレンジ版、DLCの追加曲を収録したものがそれぞれ発売されている。

角隠女地獄、通称鬼娘篇において、例外的に工藤氏が作曲しているのがこの曲である。大詰めの親玉として立ちはだかるラスボス・絡新婦との戦闘で流れ、絡新婦の妖艶で邪悪な姿にふさわしい、美しくも妖しい音使いが印象的である。イントロこそ閑寂たる雰囲気を醸しているが、胡弓が奏でる幽玄な旋律は非常に雅やかな響きを帯びている。7秒から篠笛が、13秒から三味線やオーケストラが一気に加わり、派手さと艶やかさを兼ね備えた荒ぶる和のハーモニーを生み出す。オリエンタルな雰囲気が色濃く漂うなかでも、ベースやストリングス、パーカッションなど西洋楽器を添えることで、聴き応え満点の豪華絢爛なアンサンブルに仕上げている。特に54秒や1分13秒などで三味線の勢いに火がつくところ、1分23秒で笛に出番が与えられた後に1分28~29秒で凄まじいオーケストラヒットを披露して胡弓へと繋げるところなど、盛り上がる見せ場が多く用意されている。鋭さと華やかさに満ちた一曲である。

絡新婦がそもそも没キャラから昇格したボスらしいので、この曲は元々ゲーム未収録曲としてアレンジアルバムに入っていた曲ですね。正式にゲーム内で使用されるにあたってすこし改変が加えられたようで、分かりやすいところで言えば後半がばっさりなくなっていますね。改変前もあわせてどうぞ。

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