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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1223 『グアラニ段瀑』(岩田匡治/CARAVAN STORIES/iOS・And)

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AimingがおくるMMORPG・キャラバンストーリーズより、

岩田匡治作曲、『グアラニ段瀑』。グアラニ段瀑で流れます。

剣と魔法のログレスなどで知られるAiming製の基本プレイ無料型のアプリ向けRPGとして登場した本作。様々な種族が暮らす幻想世界・イアルを舞台に、世界を脅かす敵・エニグマに対抗すべく、キャラバンと呼ばれる魔動要塞を率いて各地を旅することになる。開始時にヒューマンやオークなど複数の種族から一つ選び、種族ごとに異なる重層的な物語を進めていく(後から他の種族に転生できる)。戦闘はオートで攻撃する最大6人編成のパーティに任意のタイミングでスキルを指示する形式で、戦った魔物を仲間に勧誘して共に冒険したり育成したりする要素が含まれる。特筆すべきはキャラバンの存在で、移動型の拠点として内装や外装をカスタマイズできるほか、冒険に役立つ施設を建造したり、戦闘時に援護攻撃をおこなうよう武装したりすることができる。広大な世界を旅する純粋なRPGとしての遊び方はもちろん、ギルドやレイドバトル、対人戦など、他のプレイヤーと交流するMMO要素も充実している。王道かつボリューム満点なファンタジー世界をじっくり味わえる仕上がりとなっている。後にPC、PS4、スイッチに移植された。

本作の音楽を担当するのは岩田匡治氏、金田充弘氏、工藤吉三氏、千葉梓氏、東原一輝氏、渡邊里佳子氏。岩田氏、千葉氏、東原氏、渡邊氏は当時、金田氏と工藤氏は現在も音楽制作会社ベイシスケイプに所属する作曲家である。少数のみの作曲だが川崎正貴氏(フリーランス)、橋本鐘愛氏(MIXI所属)、山口大介氏(音楽制作会社Cheviot inc.の代表)も携わっている。このうち工藤氏が本作のサウンドディレクターを務めていて、作編曲に加え、一部ボーカル曲の作詞や効果音制作などを幅広く手がけている。本作ではオーソドックスなファンタジーの作風にあわせて、主にオーケストラと民族音楽を掛け合わせた没入感あふれる楽曲が揃っている。昼夜の概念が存在するため、フィールド曲には通常バージョンと夜景バージョンの2種類に分けられているほか、種族ごとに戦闘曲が異なるなど、ゲームのボリュームに見合った豊富な曲数が用意されている。サウンドトラックは現時点でVol.8まで発売されていて、各アルバムには概ね種族別で関連性の高い楽曲がまとめて収録されている。

グアラニ段瀑で流れるのがこの曲である。オークたちが住まうオーク領にあるフィールドで、名前の通り壮大な滝が見える自然豊かな場所である。ティンパニの重厚な打音と、うねるように響くストリングスを組み合わせることで、イントロから濃密な威圧感を漂わせる。さながら冒険映画の劇伴のようなシネマチックな雰囲気を帯びていて、16秒から質素なマリンバが入ると、すこし謎めいたようなプリミティブな響きが加わる。30秒過ぎでブラスによる力強い主旋律が参戦し、ますます雄大な印象が強め、48秒で再度マリンバが姿を見せると、雄大であると同時に純朴でもあるような、大自然の驚異を感じさせる。全体的に重く威厳のある曲調だが、曲を通してパワフルでヒロイックな勢いがあることから、臆せず突き進む勇気と好奇心を存分に駆り立ててくれる。非常に分厚い臨場感に満ちた一曲である。

夜景バージョンはスローテンポで打楽器を強調したアレンジで、勇ましさと穏やかさを両方味わえるような感じです。『グアラニ段瀑~夜景~』、あわせてどうぞ。

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