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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1222 『ピーチドーム トーナメントマッチ』(桜庭統/マリオテニスアドバンス/GBA)

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任天堂キャメロットがおくるテニスゲーム・マリオテニスより、

桜庭統作曲、アドバンスの『ピーチドーム トーナメントマッチ』(仮称)。

ピーチトーナメントで流れます。

マリオシリーズのキャラが出演するテニスゲーム・マリオテニスシリーズのうち、4作目にしてGBA向けに登場した本作。スタープレイヤーを夢見てロイヤルテニスアカデミーに入学した主人公は、アイランドオープンでの優勝を目指して励むことになる。携帯機向けの前作(マリオテニスGB)でみられたオリジナル主人公制による育成RPG風のゲーム性を踏襲している。プレイアブルキャラ数は30を超える充実ぶりで、その内訳はオリジナルの人間キャラが大多数を占め、マリオシリーズからの参戦は6人に留まっている。対戦を盛り上げる必殺技として、火竜を飛ばしたり分身したりできる派手で強力なスペシャルショットが多く搭載されていて、習得するには相撲や神経衰弱など多彩なミニゲームに挑戦してキャラの能力を伸ばす必要がある。ストーリーモードは前述のミニゲームやキャラ同士の会話シーンといったテニス以外の付加要素が多いが、純粋に試合を楽しめるエキシビジョンモードや、最大4人で通信対戦するマルチプレイモードなども用意されている。全体的に育成要素やオリジナル色が強い仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは桜庭統氏。マリオテニスシリーズおよびキャメロット製の作品全般でおなじみの作曲家である。本作はGBA末期の作品であること、またキャメロットが独自のカスタマイズを施したサウンドドライバ(黄金の太陽シリーズなどで実績がある)を活用していることから、重厚かつ表現力豊かな音色を生み出すことに成功している。一部マリオシリーズからのアレンジも含めつつ、試合曲を中心に桜庭氏らしい勢いのある鮮やかな楽曲が取り揃えられている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

ピーチトーナメントで流れるのがこの曲である。ピーチ姫自慢のスタジアムで開催されるトーナメントマッチを彩るにあたって、出だしから爽やかな勢いに満ちたエネルギッシュな曲調を披露する。すっと耳に馴染む明るく清々しい主旋律に、しっかりと厚みのあるストリングスやベースの伴奏が絡み合うことで、心地良く昂揚感を駆り立ててくれる。22~33秒頃の繋ぎの部分では、ストリングス成分を強めて勇ましく盛り上げつつ、音階を行き来するアルペジオを取り入れてリズムに奥行きを加えている。44秒以降ではさらにストリングスに大きな見せ場があり、ストリングスが高らかに鳴る傍らで、シンセが中音域で合いの手を加え、ベースが小刻みに低音を奏でることで、うまく音色のバランスを取って独特な深みを生み出している。1分7秒からはほんのり哀愁を帯びたフレーズを反復するようになるが、1分半になると小ざっぱりとした清涼感を漂わせ、ループに向けて綺麗に収束していく。オーソドックスな戦闘曲らしい面影と、テニスの試合曲らしい爽快感が融合した一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。気分が良くなるような曲ですね。