VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1089 『ヘルプロミネンス』(横田真人/スーパーマリオギャラクシー/Wii)

www.youtube.com

任天堂がおくる3Dアクション・スーパーマリオギャラクシーより、

横田真人作曲、『ヘルプロミネンス』。ヘルプロミネンスギャラクシーで流れます。

マリオシリーズのうち、3DアクションのWii進出作にあたる本作。今度のマリオは百年に一度の星くず祭に招かれるも、祭りのさなかにピーチ姫がクッパにさらわれたことをきっかけに、宇宙へ飛び出して大冒険を繰り広げることになる。重力の概念を取り入れた独特なゲーム性のもと、見た目も仕掛けも個性的な惑星を探検して各地に散らばるパワースターを集めていく。上下逆さまになったり星から星へと飛び移ったりする今までにないアクションを採用しつつ、Wiiリモコンとヌンチャクの特性をうまく活かした直感的な操作感を実現していて、斬新だがとっつきやすい絶妙なバランスを保っている。総じて3Dマリオの新境地を切り拓いた名作に仕上がっている。後に3Dマリオコレクションの一環としてスイッチに移植された。

本作の音楽を担当するのは近藤浩二氏と横田真人氏。いずれも任天堂に所属する作曲家である。近藤氏はマリオシリーズに初代から携わっているおなじみの作曲家だが、本作の担当分は数曲に留まっていて、シリーズ初参加となる横田氏が大多数を作曲している。本作でシリーズ初の生演奏のオーケストラサウンドを取り入れていて、以降の作品のスタンダードとなるようなエネルギッシュでエキサイティングな楽曲が揃っている。サウンドトラックはクラブニンテンドーの特典として、全曲収録の完全盤と選りすぐりの通常盤がそれぞれ配布されていた。

ヘルプロミネンスギャラクシーで流れるのがこの曲である。終盤に訪れる溶岩の惑星で、炎が噴き出したり隕石が降ったりするギミックが待ち受ける。イントロからドラム、ブラス、電子音が厚みのある勇ましいフレーズを奏でると、灼熱の星にふさわしい重層的な臨場感を生む。ややあってオーケストラが息を潜め、ほぼドラムのみを伴いながら26秒からシタールが入ると、その異国情緒漂う魔術的な旋律がいっそう没入感を高める。45秒にはストリングスが伴奏に加わり、さらにもう一段階、妖しくも魅惑的な空気感に磨きをかける。1分7秒で流れが変わり、口笛とシンセの合いの子のような不思議な音色がしばらく主旋律を務めた後、1分半手前になって一気に王道かつ壮大なオーケストラサウンドへと変わる。2分頃から徐々に収束していくと、ループ前後で雰囲気ががらりと変わるにもかかわらず、ほとんど違和感なく元の妖しげな曲調へ回帰する。独創的なメリハリに富んだ一曲である。

3曲まとめていただいたリクエストの第3弾です。曲の立ち上がりがいいですね、早々にぐっとくる重厚感があって格好良いです。