VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1088 『Assassin』(山西利治/ファルカタ ~アストラン・パードマの紋章~/PS)

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ガストがおくる戦略シミュレーション・ファルカタより、

西利治作曲、『Assassin』。第三章の戦闘で流れます。

上記動画の6:34から9:28まで。

アトリエシリーズで知られるガストが家庭用機向けに初参戦した作品にあたる本作。紀元前16世紀のペルシャを舞台に、アストランの民を率いる主人公一団は、敵対する勢力・ミクトランに土地を追われて流浪の旅をすることになる。すごろく状のマップを移動し、戦闘や交渉、計略などのコマンドを使いこなして物語を進めていくシミュレーションで、最大5人までのパーティを組むRPG的な要素も含まれる。世界観の独特さはさることながら、パーティメンバーが台詞や提案で積極的に意思表示をしてくる点が特徴で、行動次第で裏切りや盗みなどを働くこともできる。戦闘は遭遇する敵によってパターンが分かれ、通常戦闘はコマンド選択式、敵勢力との戦闘は大まかな指示を出して自動で戦うオートバトルを採用している。シミュレーションとボードゲームRPGを詰め合わせたような意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは山西利治氏。当時ガストに所属していた作曲家である。本作をはじめ、後に発売されるメールプラーナやウェルカムハウスなどのガスト初期の作品群でも単独で作曲している。本作の楽曲は古代中東の雰囲気を捉えた民族音楽調を主軸に据えつつ、戦闘曲は打って変わってハードロックやヘヴィメタル系のものが揃っている。サウンドトラックは未収録の曲も多いが戦闘曲を中心に収録したものが存在するほか、作中にサウンドテストが備えられている。

第三章の戦闘シーンで流れるのがこの曲である。イントロからパンチの効いたスネアドラムが響く鮮烈なゴシックメタル調が印象的で、激しいドラムビートに猛り狂うエレキギターと電子オルガンが重なり合うことで力強い圧迫感を生み出す。27秒(上記動画では7:02)あたりから、それまでオルガンが奏でていたフレーズをギターがなぞり、いっそう耳にこびりつくような大迫力の勢いを見せつける。特に53秒~1分6秒(7:27~7:40)の速弾きギターが凄まじく重厚な轟音を奏でると、すでに十分絶頂に達しているが、そのさらに上を行く盛り上がりを披露する。以降も留まることのない勢いで驀進し続ける。聴いているだけで血が滾るような闘志みなぎる一曲である。

どえらい勢いのある曲ですね。