セガがおくる竜と奏でるRPG・シャイニングレゾナンスより、
藤田淳平作曲、『大草原の風』。ウィンディア大草原で流れます。
セガのファンタジーRPG作品群・シャイニングシリーズのうち、メディア・ビジョンが開発を担当したシリーズ初のPS3タイトルにあたる本作。伝説の竜の魂を宿す少年・ユーマは、音楽の力で竜を手助けする竜奏騎士たちとの出会いを通じて、人と竜の在り方をめぐる戦いに身を投じることになる。従来の世界観を一新していて、竜に変身できる主人公と彼を取り巻く個性豊かなキャラが織り成す王道ファンタジー調のシナリオが特徴である。ハードの移行に伴ってグラフィックが大きく進化したほか、戦闘面はシームレスかつリアルタイムでコンボを繋げて戦うD-TUNEバトルというアクション性の強いシステムが採用されている。強力な力を持つ代わりに暴走するリスクのある竜装変化という主人公専用の変身コマンドや、歌を通じて多彩な効果を発動できるB.A.N.D.パフォーマンスというコスチュームチェンジ要素を含む必殺技など、戦闘を華やかに彩る仕組みが多く搭載されている。正統派の作風や美麗な絵柄と相まって手堅くまとまった仕上がりとなっている。後にPS4、スイッチ、Steamに移植された。
本作の音楽を担当するのは喜多智弘氏、藤田淳平氏、藤間仁氏、Evan Call氏。喜多氏とCall氏は当時、藤田氏と藤間氏は現在も音楽制作ブランド・Elements Gardenに所属する作曲家である。このうち喜多氏の担当分は作曲と編曲でそれぞれ1曲のみに留まっている。本作ではオーソドックスなファンタジーの作風に見合ったオーケストラ系のサウンドはもちろん、ヒロイン（早見沙織氏や水樹奈々氏といった著名な声優陣）が歌い上げるボーカル曲が充実している点が大きな魅力である。サウンドトラックはボーカル曲も含めて収録されている。
ウィンディア大草原で流れるのがこの曲である。序盤に訪れる自然豊かなフィールドを彩るにあたって、まずはじめに耳馴染みするギターイントロで居心地の良い雰囲気を整える。次いで笛の主旋律が入ると、独特な哀愁を孕みつつも非常に伸び伸びとした音色を奏でることで、たちまちにして心奪われるような美しい恍惚感を生む。主役を務める笛のみならず、鮮やかに興を添えるストリングスや滑らかに響き渡るハープ、小気味よく拍を刻むパーカッションなどの伴奏が果たす役割も大きい。36秒からはアコーディオンが加わって優しく和やかな旋律を紡ぎ、大草原というイメージにぴったりな牧歌的な印象を漂わせる。1分9秒頃で笛が再び参入すると、曲終盤に向けて爽快感のある小綺麗なフレーズを奏でてやがて収束し、1分28秒から再始動する。たっぷりの哀愁と麗らかな清涼感を併せ持つ一曲である。
素晴らしい心地良さですね。ちなみにスタッフロールの曲にもこの曲のフレーズが入ってます。『未来への序曲』、あわせてどうぞ。
