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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#404 『裁きの森』(ZIZZ STUDIO/竜星のヴァルニール/PS4)

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コンパイルハートがおくる生きるために竜を喰らうRPG・竜星のヴァルニールより、

ZIZZ STUDIO作曲、『裁きの森』。同名のダンジョンで流れます。

コンパイルハートのゲームブランド・ガラパゴスRPGの第5弾として、魔女×巨大竜×ダークファンタジーというコンセプトのもと登場した本作。魔女が迫害の対象とされる中世の時代、魔女の助力により竜の血を飲んだことで魔力に目覚めた少年騎士ゼフィが、陰謀渦巻く過酷な運命に抗うという内容のダンジョン探索型RPGである。戦闘時は敵味方ともに空中に浮遊した状態で、上層・中層・下層の三層にまたがる空間を駆使して戦い、その場で竜を捕食することでスキルを奪い取るという育成要素も含まれているなど、全体的に意欲的な仕上がりとなっている。後にSteamやスイッチに移植された。

本作の音楽を担当するのは桜庭統氏とZIZZ STUDIOの面々。ZIZZ STUDIOの内訳に関しては、大山曜氏を中心に、筒井香織氏やテイセナ氏も参加しているとのことである。メインテーマと戦闘曲は桜庭氏が、ダンジョンやイベント曲はZIZZ STUDIOがそれぞれ担当していて、本作の世界観に合わせて、ダークでメルヘンチックな楽曲が一通り揃っている。サウンドトラックは予約特典として付属されているが、単品では非売品である。

裁きの森で流れるのがこの曲である。暗く妖しげな森を舞台とする最初のダンジョンで、この曲はそうした独特な景観に溶け込むような珠玉のケルトサウンドに仕上がっている。環境音を思わせる静かなイントロで始まり、10秒から流麗なフィドルとハープが入ると、その聴き心地抜群の美しい音色が、たちまちにして引き込まれるような力強い没入感を生む。20秒過ぎから主旋律のリコーダーと荘厳なコーラスが加わることで、ますます呑み込まれんばかりの圧倒的な神秘を醸し出す。とりわけ56秒からコーラスが一旦抜け、笛と弦が華麗に合奏するさまは見事で、1分13秒で高音を響かせながらフレーズを締め括り、以降しばらくハープに託す流れは、非常に幻想的かつ秀逸な余韻を残す。繊細でありつつ生気に満ちた、魔術的とも言える美しさを誇る一曲である。

2018年イチ押しの一曲です。ちなみにリコーダーを演奏しているのは筒井さんだそうです。