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#1612 『龍骨鬼戦』(前沢秀憲/月風魔伝/FC)

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コナミがおくるアクションRPG月風魔伝より、

前沢秀憲作曲、『龍骨鬼戦』。ラスボス戦で流れます。

コナミファミコン向け和風アクションとして登場した本作。遠い未来の魔暦元年、地獄界より蘇った魔王・龍骨鬼に対抗すべく、月氏三兄弟の末弟である風魔が、先に散った兄たちの無念を晴らすためにも立ち向かうことになる。はるか未来でありながら和風伝奇らしさを強く感じさせるケレン味あふれる作風が特徴的で、アクションと一口に言ってもオーソドックスな横スクロール面の他に見下ろし型のフィールドや3Dダンジョンも用意されている。店でアイテムを購入したり、敵を倒すたびに剣の切れ味が増して攻撃力が強化されたりして、RPG的な探索要素や成長要素が充実している。アクションの手触りや操作性の良好さ、ギミックとシチュエーションの豊富さ、グラフィックや演出の鮮やかさなど、全体的に骨太かつ上質な水準でまとめ上げられている。総じて色褪せぬ歯応えと格好良さのある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは前沢秀憲氏。当時コナミに所属していた作曲家である。スタッフロールでは魔遺慶流という謎めいた名義で記載されているが、これは氏の別名義であるマイケル前沢を指す当て字である。本作では和風の静けさと激しさをバランスよく織り交ぜていて、シリアスでありながらキャッチーでスピーディーな印象のあるメリハリ豊かなサウンドを楽しめる。本作を象徴する要素として、続編や他作品のゲスト出演時などでも本作の楽曲がアレンジして使われることが多い。サウンドトラックについては、各種コナミファミコン作品群をまとめて収録されたもののなかに本作が含まれる。

ラスボス戦で流れるのがこの曲である。狂鬼島に棲む諸悪の根源にして地獄の魔王、兄の仇敵である。第三形態まであり、初めはローブ姿、次は甲冑姿、最後は画面いっぱいの巨躯を誇る骨の龍へと変身する。さながら葬送行進曲のように重苦しいイントロで始まるが、9秒から急激に勢いを帯びて縦横無尽のアルペジオを披露するようになる。非常に疾走感があるなかでも、重く苦しく緊張感あふれる雰囲気は終始色濃く漂い続けている。息もつかせぬペースで矢継ぎ早に高音を鳴らしつつ、伴奏やドラムはきっちり刻んで曲の流れを盤石に支えている。35秒からは趣向を変えて低音を巧みに配置し、後を追うように高音を被せることで、独自のスリルと切迫感を生み出している。ループ間際の41~43秒にはあえて流れを遮るように耳に残るフレーズを奏で、心機一転してからループに突入する。危機迫り鬼気迫る一曲である。

いつかこの曲を紹介したい、と前に言った記憶があり、遡って調べたらほぼ六年前の記事で言ってました。というわけで悪魔城HDでの浅田靖さんのロックアレンジ、Undying Moonの宝野聡史さんによるハードロック&シンフォニックアレンジ『放ちの龍骨鬼』、それと音ゲーのボルテBOOTHのyuukissさんによるラップアレンジ『龍骨鬼 yks Remix』もあわせてどうぞ。

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