任天堂がおくる3Dアクション・スーパーマリオ3Dランドより、
横田真人作曲、『海のテーマ』。WORLD 3-2をはじめとする浜辺系のコースで流れます。
マリオシリーズの3DS進出作にあたる本作。今度のマリオは、キノコ王国の名木として親しまれるしっぽの木を見に行ったきりクッパにさらわれてしまったピーチ姫を救うべく、しっぽの力を借りて冒険することになる。3Dのグラフィックとアクションで3DSらしい立体視表現を取り入れつつも、2D感覚で遊べるハイブリッドでカジュアルなゲーム性が特徴である。通常8ワールド+クリア後8ワールド構成でコースの総数は90以上、スター収集を目的とする箱庭探索ではなく、従来の2Dマリオに寄せて一本道でゴール目指して突き進むステージクリア型を採用している。本作を象徴するものとしてしっぽの要素があり、道中で専用のアイテムを取ればタヌキマリオに変身し、しっぽを振って攻撃したり滞空してゆっくり降下したりすることができる。他にもおなじみファイアボールを放つファイアマリオや、ブーメランを自由に使えるブーメランマリオなどの変身先が用意されていて、手軽に個性的なアクションを繰り出せる楽しさがある。全体的にライト向けに調整されているものの、道中に隠されたスターメダル集めをはじめ、難関コースやタイムアタックなどのやり込み要素もしっかり搭載されている。総じて正統で安定感のある良作に仕上がっている。
本作の音楽を担当するのは早崎あすか氏、濱剛氏、横田真人氏。濱氏は当時、早崎氏と横田氏は現在も任天堂に所属する作曲家である。なお、本作のスタッフロールは役職別での記載がなく、ほぼ一律でSTAFF欄にまとめられている。このうち早崎氏はNewスーパーマリオブラザーズ以降、横田氏はギャラクシー以降でシリーズに携わっていて、濱氏はシリーズ初参戦かつ唯一の参加作品でもある。早崎氏は本作の発売年あたりから、旧姓の太田から現在の名義を使用するようになった。本作の音楽は過去作からのアレンジを多分に含んでいて耳馴染みしやすく、新規曲に関しても最近の3Dマリオらしい壮大なオーケストラ路線ではなく、スケール感を抑えて愛嬌と温かみのある方向性で統一されている。サウンドトラックは本作単体では未発売だが、一部楽曲がシリーズ30周年記念盤に収録されていて、曲名と作曲者が明かされている。
WORLD 3-2、6-1、7-1の浜辺系のコースで流れるのがこの曲である。陸上と水中でシームレスにアレンジが切り替わる仕様で、上記動画は陸で流れるデフォルト音源である。楽しく涼やかなキーボードとシンセリードの音色が気持ち良く、7秒過ぎから本格的にメロディーが入るとますます親しみやすくノリやすい雰囲気を形作る。メロディーの裏でしっかり周期的にキーボードを鳴らすことで軽快なトーンを添えていて、23秒から音数が増えるとさらに伴奏部分に賑やかで滑らかな音色が加わる。37~39秒でうまくフレーズの橋渡しをすると、続けてストリングスやシンセブラス風の音色が陽気に鳴り響いて爽やかな盛り上がりをみせる。とはいえあくまでリラックス感のあるムードを保っていて、肩肘張らずに聴き浸れる気楽さがある。水中アレンジは特にその傾向があり、鉄琴を思わせる煌びやかな高音を軸としてメロディーラインを引き立たせて透明感と清涼感を生み出している。自然体でとても朗らかな気分になれる一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。水中アレンジの他に、スマブラforにJesahmさんアレンジで地上の曲とメドレー化した『スーパーマリオ 3Dランドのテーマ / 海のテーマ』、キノピオ隊長にほぼ忠実だけど若干スローなアレンジがありますので、あわせてどうぞ。