Amusement Makersがおくる弾幕シューティング・東方Projectより、
ZUN作曲、怪綺談の『Dream Express』。1面で流れます。
同人の弾幕シューティングシリーズ・東方Projectの第5弾にあたる本作。魔界から定期的に送られてくる魔物退治に追われていた博麗靈夢は、元凶を絶つべく魔界の扉があるといわれる洞窟から魔界へ向かい、あわせて観光気分でやってきた魔理沙、悪霊の魅魔、妖怪の幽香も魔界を目指すことになる。全6面+おまけのEXステージから成り、開始時に4人の自機のいずれかを選んで進めていく。PC98時代およびAmusement Makers時代の最終作ということもあり、キャラのラインナップやゲーム性はこれまでの総決算のようなところがあり、スペルカードこそ存在しないがステージ構成や自機の挙動、各種ボーナス、ランク制など諸々の要素が網羅的に整っている。前作はボムを使うとアイテムが自動回収できて得点が倍増する仕様だったが、本作では一転してボムを使うほどスコアが伸びにくく稼げない仕様に変更され、対照的な立ち回りを求められるようになった。全体的にランク変動は抑えられていて、ランク(プレイヤーの腕前)よりも自機の性能差(プレイヤーの選択)によって遊びの幅が設けられている。総じて東方旧作の集大成らしくまとまった仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはZUN氏。おなじみ東方Projectシリーズの開発全般をほぼ単独で担っているクリエイターで、本作含め旧作を手がけた当時は大学生だった。本作では畳みかけるような勢いのあるFM音源サウンドを軸としつつ、どこかビターでドラマチックな趣があり、魔界の手強さや集大成らしい気迫が感じられる。例によって作中にMusic Roomがあるが、本作では旧作のほぼ全曲をまとめて収録されている点が特徴で、これまでの振り返り兼コレクションとしてたっぷり堪能することができる。サウンドトラックについては、後に旧作を音源化した幺樂団の歴史シリーズの第2弾で本作の楽曲が扱われている。
1面「万物神気 ~ Materialization」で流れるのがこの曲である。開始直後、魔界に辿り着く前であり、魔界の門番が待ち受けるステージである。出だしから激しく目まぐるしい音階で魅せる大胆さが印象的で、12秒あたりから高速で刻むパーカッションを交えてぐんぐん勢いを伸ばしていく。そろそろメインメロディーが入る段階で、24~25秒で一旦止めてからエンジンをかけることで分かりやすく緩急をつけて素晴らしい疾走感を生み出している。主旋律だけでもかなりスピーディーでパンチが効いているが、37秒でさらに荒ぶる裏メロが加わり、軽快を通り越して豪快に、高速を通り越して豪速で駆け抜けていく。一連のフレーズを終えて49秒以降はしばらく溜めるようになるが、相変わらず後ろでせわしなくリズミカルに刻み続け、やがて冒頭で聴き覚えのあるフレーズへと繋がっていく。再度メインメロディーが入る段階の1分半過ぎで一旦止まると見せかけてキーを変え、これまで以上に豪快で豪速で絢爛豪華なサビを披露する。1面にしてすでにクライマックスと言わんばかりのインパクトがあり、どぎついほどの格好良さに満ちた一曲である。
開始早々から飛ばす切り込み隊長みたいな曲……あるいは、夢特急なら突撃列車みたいな感じですかね。