上海アリス幻樂団がおくる弾幕シューティング・東方Projectより、
ZUN作曲、虹龍洞の『ルナレインボー』。最終面で流れます。
東方Projectの第18弾にあたる本作。人間や妖怪の秘密が込められた不思議なカードが巷で流通していることを知った巫女の霊夢らは、真相を探るべく調査することになる。霊夢・魔理沙・咲夜・早苗の人間4人のうちから自機を選択し、全6面構成のステージを攻略していく。特筆すべきはアビリティカードと呼ばれる新システムで、カードを入手することで、特定の攻撃を繰り出す、残機が増えるなど、主に既存キャラの能力を元にした様々な効果を発揮することができる。カードの入手方法は初期装備のほかに、倒したボスから1枚買い取れる仕組みで、これに伴って購入に必要な資金力という概念が登場した。適切に資金を溜めて有用なカードを購入することが攻略のうえでもスコア稼ぎのうえでも鍵を握る。高いカスタマイズ性とリプレイ性によって従来とは一味異なる遊び応えのある仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのはZUN氏。おなじみ上海アリス幻樂団の主宰で、東方Projectの生みの親である。本作ではタイトルにもある通り虹をモチーフにしているためか、全体的に爽やかで開放的な、それでいてどこか捉えどころのない雰囲気の楽曲が揃っている。サウンドトラックは各種デジタルストアでサブスク配信されているほか、いつも通り作中にミュージックルームが完備されていて、楽曲ごとに氏のコメントが付されている。
6面道中で流れるのがこの曲である。誰の物でも無い夜空、月虹市場という副題が付けられた最終面を彩るにあたって、冒頭から非常に優雅で神秘的なピアノのアルペジオを奏でることで、圧倒的な美しさを印象付ける。音階を徐々に上っていき、徐々に下っていき、それを幾度も反復する様子が、さながら寄せては返す波のようなイメージを生み出す。20秒からポップな電子音が響くようになると、あくまでピアノは裏でアルペジオを奏で、40秒頃から主旋律らしき音色が入ってもなお、変わることなく繰り返し続ける。1分20秒で他の音色が抜けたおかげで再びピアノが目立つと、あらためてその美しさを知らしめる。大きな起伏こそないが、ラストステージにふさわしい感無量の昂揚感に満ちた一曲である。
雰囲気づくりがうまいですよね。とても幻想的です。
