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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1083 『Ancient City』(Svyatoslav Petrov・橋本翔太・松本タケシ/ラピス・リ・アビス/NS・PS4)

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日本一ソフトウェアがおくるアクションRPG・ラピスリアビスより、

Svyatoslav Petrov・橋本翔太・松本タケシ作曲、『Ancient City』。旧都市で流れます。

日本一ソフトウェアによる完全新作のハック&スラッシュとして登場した本作。プレイヤーは冒険団の一員となり、黄金のなる樹が生えるという大樹海に挑むことになる。8種類の職業から4人編成のパーティを組み、オタカラだらけのダンジョンを攻略していく。特筆すべきはリーダー以外の残り3人は頭上にダンゴ状に積み上げられる点で、基本的にはリーダーのみを操作するが、リーダー以外のキャラは敵に投げつけて攻撃することができる。また、敵を倒すなどしてフィーバーゲージを最大まで溜めるとフィーバーモードに突入し、しばらく無敵になってオタカラが画面を覆い尽くさんばかりに大量出現する。とにかくハクスラとトレハンに特化したゲーム性が特徴で、ストーリーやチュートリアルはごく簡素なつくりに留められている。ダンジョンが入り組んでいる割にミニマップの類がなく、制限時間も存在するなど、やや急かされる仕組みだが、ハクスラの醍醐味を押さえた派手で爽快な仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはSvyatoslav Petrov氏、橋本翔太氏、松本タケシ氏。いずれもデジタルコンテンツ制作会社ジーアングル(音楽をはじめ、映像やイラストなどを手がける会社)に所属する作曲家である。このうち松本氏がサウンドディレクターを務めている。松本氏とPetrov氏は本作以前にも日本一ソフトウェア製の作品で嘘つき姫と盲目王女の作曲経験がある。本作では電子音楽を基調にしたアッパーでノリノリな楽曲が揃っていて、ものによっては民族音楽的なエッセンスを感じさせる。サウンドトラックは国内では未発売だが、欧米の限定盤に付属されている。

第5階層の旧都市で流れるのがこの曲である。階層はクリア後を除いて10個存在するため、旧都市はだいたい中盤のダンジョンである。薄暗く廃れた雰囲気にあわせて、イントロから不吉な響きを帯びた高音が奏でられる。怪しさ満点の印象を植え付けたところで、16秒から本格的にドラムビートが加わり、ミドルテンポのディスコミュージックらしい曲調になる。33秒以降のスリリングなフレーズで緊張感を高めていくと、56秒~58秒、1分1秒~3秒などであえて音色の一部分が引っかかって繰り返されるスタッターのようなエフェクトを効かせ、耳に残るインパクトを生む。電子音楽特有の怪しい中毒性を感じさせる一曲である。

不穏だけどノリが良いのっていいですよね。