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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1082 『Temple Surveillance - Main Theme』(David Clynick/Perfect Dark Zero/X360)

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レアがおくるファーストパーソンシューティングパーフェクトダークより、

David Clynick作曲、ゼロの『Temple Surveillance - Main Theme』。

MISSION 10で流れます。

ニンテンドウ64向けのFPSパーフェクトダークの続編として、Xbox360のローンチタイトルとして登場した本作。西暦2020年を舞台に、ダーク探偵社を営む父の元で修業を積む主人公のジョアンナ・ダークは、古代の遺産を巡る争いに巻き込まれることになる。前作よりも過去の出来事を描いていて、全14ミッション(チュートリアルのMISSION 0含む)から成るキャンペーンモードに加えて、最大32人までマルチプレイで遊べるコンバットアリーナという対戦モードや、協力してミッション攻略できるCO-OPモードが存在する。ストーリーはやや薄味で全体的にシビアなゲームバランスだが、主に武器まわりのグラフィックやエフェクトが凝っていて、次世代機らしい水準を保っている。前作同様、濃密なSFの世界観のもとで多様な武器を使い分ける面白味を感じさせる意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのはDavid Clynick氏。当時レアに所属していた作曲家である。前作は他二名と共同で作曲していたが、本作は一部ゲストコンポーザーの担当分を除き単独で作曲している。ボーカル入りの主題歌はニューヨークのバンド・MorissonPoeが担当しているほか、1曲のみの参加でサンフランシスコのDJデュオ・Kepi and Katが携わっている。偵察や侵入、脱出などのシチュエーションを彩るにあたって、スリルとテンションを重視したハードボイルドなテクノやエモ系の楽曲が揃っている。サウンドトラックはボーカル曲も含めて収録されている。

MISSION 10 "Temple | Surveillance(テンプル|偵察)"で流れるのがこの曲である。舞台は自然に侵食された南米の寺院で、制限時間内にトラップだらけのマップを攻略することになる。はじめは煌びやかだがどこか不穏な響きを帯びた音色が印象的で、いかにも訳ありな宗教施設にぴったりな雰囲気を醸し出すが、16秒からエレキギターが入ると一転して哀愁漂うメロウなロックナンバーへと変わる。22秒や32秒などでエコーがかかったボイスが入ることで、いっそう感情を揺さぶるような切なさを滲ませる。1分12秒からはしばらくイントロで聴き覚えのある抑圧的な曲調になるが、1分26秒でギターが主旋律に返り咲くと、幾度となくフレーズを反復して鬱屈した感情を徐々に解きほぐしていく。核心に迫りつつある終盤のミッションらしいシリアスなグルーヴ感に満ちた一曲である。

ボイスが良いアクセントになってますね。格好良いです。