Snowmanがおくるボードアクション・Altoより、
Todd Baker作曲、Odysseyの『An Endless Desert』。メインモードで流れます。
ボードに乗って延々と滑り続けるゲーム性で知られるAlto's Adventureの後継作にあたる本作。今度のAltoと仲間たちは、故郷から遠く離れた砂漠で滑走することになる。買い切り型の2D横スクロールランゲームで、自動生成で刻々と変わる景色のなか、障害物を避けながらひたすら走り、ゆくゆくは飛べるようになる点は前作同様である。トリックを決めてスコアを稼いだり、ゲームを進めてプレイアブルキャラを解禁したり、目標を達成して集めたコインでお助けアイテムを入手したりする要素は健在で、完全無敵で無限に走れる禅モードも変わらず収録されている。本作では雪山を舞台とする前作から一転して砂漠での旅を描いていて、陰影に富んだ幻想的でエキゾチックな景観を存分に楽しむことができる。新たに峡谷や寺院をはじめとするロケーションや、砂嵐や竜巻といった自然現象、気球を用いた滑空など、シンプルだがユニークな目玉要素が加わった。前作以上に雰囲気満点で至福の心地良さがある仕上がりとなっている。後に基本無料になってAndroidに移植されたほか、前作とセットで買い切り型のThe Alto CollectionがPC、PS4、XboxOne、スイッチに登場した。
本作の音楽を担当するのはTodd Baker氏とTorin Borrowdale氏。Baker氏はイギリス出身の作曲家で、主にゲームやVR関連の方面で活動している。Borrowdale氏はアメリカ出身の作曲家で、ゲームのほかに映画やテレビ方面でも活動している。このうちBorrowdale氏は前作に引き続き、禅モードの作曲担当として参加している。本作の楽曲は前作と同様の方向性で、基本的にはピアノを軸に据えたイージーリスニングだが、長く聴かせるのを想定して聴き進めるうちにドラマチックな起伏が感じ取れるような、場面に連動して曲がインタラクティブに変化する構成に仕上がっている。サウンドトラックは各種デジタルストアで配信されている。
メインモードで流れるのがこの曲である。まずは肩慣らしにミニマルなピアノの音色を繰り返して、まるで試しに音を鳴らしているような素朴な雰囲気を生む。8秒過ぎから打楽器のビートが、14秒以降からシンセパッドと、入れ替わるようにして笛の音が、さらに26秒から細やかなマンドリンが加わることで、徐々に音数が増えて色彩豊かな印象を帯びていく。他にも聴き進めるうちに鉄琴、クラリネット、チェロなど、絶妙に粋なチョイスの楽器が加わっていく。シンバルを皮切りにして盛り上がる1分8秒からのパートは心躍る魅惑的な響きがあるし、1分43秒からのパートは打楽器に見せ場を与えてうまくテンションを整えている。2分35～38秒や2分44～47秒などでみられる上品な下降音階は、曲に華を添える良いアクセントになっているし、3分13秒以降で優雅なチェロがうねりながら響くさまは、ボードに乗って縦横無尽に滑走するシチュエーションによく合っている。前述の通り、曲の各パートは自動生成される作中の場面に連動して聴こえ方が変化するため、プレイするたびに新鮮な聴き心地を得られる。無限に引き込まれる一曲である。
抗いがたい、たまらない素敵さですね。
