トレジャーがおくるリアルタイム格闘型アクション・
アドバンスガーディアンヒーローズより、半澤一雄作曲、『罠（地獄へようこそ）』。
ズル戦で流れます。
セガサターン向けに登場したベルトスクロールアクションと対戦格闘の融合作・ガーディアンヒーローズの続編にあたる本作。前作の英雄たちが奮戦むなしく敗れた世界を舞台に、暗黒魔導士・カノンの復活により地上が脅かされるなか、レジスタンスの姫によって召喚された異世界の英雄魂（プレイヤー）は兵士の体を借りて戦うことになる。世界観や大まかなゲーム性は前作を踏襲しているが、3ライン制だった前作とは異なり上下左右を自由に移動できるようになったほか、セガサターンからGBAへのハード変更に伴うボタン数の減少により操作が簡素化された。マルチシナリオ制の廃止、VSモードにおける対戦人数の削減（6人→4人）など、携帯機水準で縮小されたシステムもすくなくないが、派手に敵を吹っ飛ばす爽快感や、ストーリーモードであっても敵味方問わず全キャラを使用できる太っ腹仕様など、魅力的な要素も搭載されている。また、カウンターの導入、一定時間強化されるハイパーモードの追加など、主に戦闘バランスに影響する新要素も含まれる。前作と手触りやボリューム感は異なるが、ハード性能に合わせてしっかり調整された仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは半澤一雄氏。スタッフロールではNON名義でクレジットされている。当時トレジャーに所属していた作曲家である。前作では鈴木勝彦氏と共作で、演奏協力としてサックス奏者の故・土岐英史氏らが携わっていたが、本作では半澤氏が単独で作曲している。一部前作のアレンジが含まれるが、基本的には新曲が多く、GBA音源特有のざらついた音色をうまく活かした激しめで勢いあふれるサウンドが揃っている。サウンドトラックについては、スペシャルアレンジを施したボーナストラックも含めて収録されている。
5面のズル戦で流れるのがこの曲である。前作から続投している悪役で、白タイツにマント姿でうねうね動く変人である。ズルとは1面で戦う機会があるほか、ステージによっては本人が戦わない代わりに兵器をけしかけてきたりもするが、それらの戦闘では流れず、5面のズル戦（前半に一度、後半に黒タイツ化してもう一度の計2回）で用いられる。イントロから喧しく響くギターが印象的で、4秒からノリノリなパーカッションが入ると、曲者との激戦をいっそうスリリングに盛り上げてくれる。1ループ34秒と短いうえにフレーズの反復が多いが、曲後半の19秒からは転調してブラスの勇壮な旋律を取り入れるなど、ストイックな曲調のなかにメリハリも感じられる。憎めないようで侮れないような、したたかな悪人っぽさがよく反映された一曲である。
悪そうな雰囲気がぷんぷん漂う曲ですね。
