エンターブレインがおくる恋愛シミュレーション・アマガミより、
岩垂徳行作曲、『七咲逢のテーマ』。七咲逢のテーマとして流れます。
キミキスのスタッフによる新作として登場した本作。過去の経験によりクリスマスに苦手意識を持つ男子高校生の主人公は、遠目から眺めるだけの憧れの先輩・森島はるかとクリスマスを過ごせるチャンスがあるのは今年が最後だと気付き、一念発起してクリスマスを共に過ごせる女の子を探すことになる。メインヒロイン6人＋隠し1人による恋愛シミュレーションで、クリスマスまでの約40日間、各日4回の行動時間を使ってイベントをこなしつつ女の子と親睦を深めていく。選択肢の豊富さや主人公の大胆さ、エンディング分岐の多彩さが特徴で、想い人と結ばれるBESTルートはもちろん、二股をかけると苦いエピローグが語られるスキBADや、攻略途中の強制ゲームオーバーなど、様々なルートが存在する。立ち絵やスチルなどビジュアルの質感は良好で、女の子と何気ない会話を交わしたり、細やかな心情描写を垣間見たりすることで、没入感のある等身大の恋愛を楽しむことができる。手ごわく甘酸っぱい駆け引きを体験できる仕上がりとなっている。後にPSPやPSVitaに移植された。
本作の音楽を担当するのは岩垂徳行氏。音楽制作会社ツーファイブに所属する作曲家である。エンターブレイン製の恋愛ゲームでは本作以前にもトゥルーラブストーリーシリーズやキミキスなどを手がけている。本作では通常の現代風の音源に加えて、あえてFM音源で遊べるクラシックモードが搭載されていて、PC88で一から打ち込んだこだわりのレトロサウンドを堪能することができる。全体的に程よく明るく程よく切ないBGMが揃っていて、作中の季節が初冬～クリスマスということを受けて、オルゴールや鉄琴のような冬らしい音色や、アコースティックギターの温もりのある音色をふんだんに用いている。サウンドトラックについては、クラシックモードの音源も含めて3枚組で収録されている。
七咲逢のテーマとして、彼女に関連するシーンで流れるのがこの曲である。華奢で運動神経抜群な水泳部の1年生で、ショートヘアが似合うクールな後輩ヒロインだが、割と面倒見がよく献身的な一面がある。この曲はそんな彼女のイメージに寄り添うように、渋いウッドベースと陽気なシロフォンを巧みに組み合わせたチルアウト系のジャズに仕上がっている。穏やかで癒されるような、それでいて格好良くて頼れるような、独特な魅力を湛えた曲調が印象的である。曲の出だしが絶妙に耳心地が良い点に加えて、30秒や1分半過ぎなどで艶やかなブラスパートを取り入れたり、1分5～7秒や2分8～10秒のわずかな隙間でパーカッションのみを響かせたりすることで、随所に曲全体の心地良さに磨きをかける工夫が凝らされている。思わず心を委ねたくなるような中毒性のある一曲である。
この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。CV：ゆかなさんによるボーカル入りのキャラソンもあって、歌と器楽のバランスが良くて素敵です。『trust』、あわせてどうぞ。
