サクセスがおくる漢字アクション・漢字の渡り鳥より、
岩垂徳行作曲、『俺は漢字の渡り鳥(第一章)』(仮称)。
第一章のステージで流れます。上記動画の18:27から21:07まで。
「ただの頭脳系ゲームに飽きた人たち」に向けて登場した本作。昭和6X年、コンピュータの普及により漢字離れが深刻化するなか、突如世界中のコンピュータが一斉にウイルスに侵され機能停止し、文明が崩壊した日本を舞台に、さすらいの渡り鳥・カンジガイは、旅先で謎の組織に追われる国語教師・桜と出会い、巨悪に立ち向かうことになる。主に漢字の読み(難易度は最高でも高校卒業レベルまでの出題)に重きを置いていて、漢字が書かれたパネルを掲げる組織の戦闘員に対し、制限時間内にタッチペンで読みを手書きして撃破する、変則的なタイピングゲームのようなシステムを採用している。他にも画数連打チキンレースや四字熟語麻雀などの特殊ルールがあり、吹っ切れたノリの世界観とともに個性的な漢字バトルを楽しめる。全五章構成でボリュームはすくなめ、勉強用ではないためか復習や解説モード等は存在しないが、イロモノっぽい見た目通りの濃さを持つ仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは岩垂徳行氏。音楽制作会社ツーファイブに所属する作曲家である。本作では昭和の無国籍アクション映画を彷彿とさせる独創的な作風にあわせて、派手で情熱的な楽曲が揃っていて、ものによってはウェスタンやスウィング・ジャズ的なエッセンスを持つノリノリなサウンドを堪能できる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。
第一章「俺は漢字の渡り鳥」で流れるのがこの曲である。出会ったばかりのヒロインを助けるべく組織の戦闘員と漢字バトルを繰り広げる、王道だがシュールな展開を、イントロからパワフルに鳴り響くオーケストラヒットが盛り上げてくれる。サクソフォンとピアノが織り成す躍動的で官能的な旋律が特徴で、ハイハットのリズミカルなビートが癖になるような昂揚感を生み出す。ピアノが影を潜め、オケヒやギターが目立つようになると、ますますスリリングでエキサイティング、踊り出しそうなほどグルーヴィな色合いを強める。ループ手前の繋ぎ部分(上記動画では19分44~46秒および20分56~58秒)でパーカッションのみのフレーズを挿入して調子を整えた後、洒落たピアノがカムバックして再始動する。第一章という開始早々、本作らしいノリを丸ごと凝縮した一曲である。
戦闘員が出現する際の効果音(鳴き声?掛け声?)で「ケー!」というのが入るんですが、その変な声が妙に曲に合っていて、さらにまた、やたらと動く戦闘員のポーズとも相性抜群で、なかなかの親和性です。