VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1195 『たからじま内部』(大原萌/はたらくUFO/NS)

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HAL研究所がおくるUFOアクション・はたらくUFOより、

大原萌作曲、スイッチ移植版の『たからじま内部』(仮称)。

たからじま内部で流れます。

カービィシリーズで知られるHAL研究所が開発したスマホ向けのアクション「はたらくUFO」のスイッチ移植版にあたる本作。宇宙から地球へやってきたUFO・ジョブスキーは、困っている人を手伝うべく自慢のクレーンを使ってバイトすることになる。荷物の積載から作物の引き抜き、スイーツ作りや化石の復元に至るまで、いろんな職場を舞台にクレーンで掴んで運んで積み上げてお仕事をこなしていく。基本的なゲーム性はスマホ版原作と共通しているが、移植に際する新要素として、ひたすら荷物を積み上げて高さを競うエンドレスのせのせ、仕掛け満載なダンジョンを攻略するクリア後要素のたからじま、条件を満たして挑戦できる高難易度のちょいムズ★★モードなどが加わった。また、Joy-Conのおすそわけによる2人協力プレイにも対応している。原作の時点でカジュアルさと遊び応えを兼ね備えていたが、そのうえさらに奥深さが増した仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは大原萌氏と酒井省吾氏。いずれもHAL研究所に所属する作曲家である。このうち酒井氏はスマホ版の作曲および効果音制作を一手に担っていたが、本作の追加曲や効果音まわりは大原氏が手がけている。「レトロゲームサウンドと様々なジャンルの音楽をうまく融合させる」というコンセプトのもと、新旧ともに独特なキャッチーさのある楽曲が揃っている。メインとなるフレーズを各曲に散りばめてステージや状況ごとにアレンジを施すスタイルは本作でも受け継がれていて、新曲含めすべての楽曲にお決まりのタイトルコール(酒井氏の緩い歌声を加工したもので、一部歌詞が異なるパターンがある)が織り込まれている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

たからじまの遺跡内部で流れるのがこの曲である。たからじまは前述の通り、移植版のクリア後要素で、リゾート地にあるナゾの遺跡を探索し、ギミックを解いておたからを入手したり、ときにはボスと戦ったりする(ボス戦は別曲が用意されている)。内部に充満する神秘的な雰囲気を彩るにあたって、ピアノと木琴とチップチューンを融合させることで、穏やかな、それでいて好奇心をそそるような印象を与える。36秒以降はストリングスや鉄琴のような音色も交えてざわざわとした空気感を漂わせる。しばらく似通ったフレーズを反復するが、1分7秒ほどで流れが変わると、バンジョーカリンバ、リコーダーと思しき素朴な音色を相次いで響かせる。さらに1分22秒過ぎからは艶めかしいクワイアが加わり、非常にミステリアスなムードに包まれたところで、1分52秒で有終の美を飾るようにタイトルコールが入る。遺跡探索のお供にぴったりな冒険心をくすぐる一曲である。

ボス戦のチップチューン・ミーツ・ビッグバンドジャズみたいなご機嫌なナンバーも好きです。あわせてどうぞ。

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