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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1739 『大会:中級』(若井淑/nintendogs/NDS)

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任天堂がおくるコミュニケーションゲーム・nintendogsより、

若井淑作曲、『大会:中級』。エキスパートとマスターズクラスの大会で流れます。

幅広い世代に向けたTouch! Generationsシリーズの一環としてDS初期に登場した本作。ダックス&フレンズ、チワワ&フレンズ、柴&フレンズの3パッケージあり、それぞれ異なる犬種をフィーチャーして初期状態で各5種を飼うことができる。が、どれを選んでも最終的にすべての犬種が揃えられるフレンドリーな仕組みである。写実的で可愛らしい子犬のモデリングとモーションが魅力的で、食事やお風呂、散歩、芸の習得、大会の出場など一連の飼育工程と育成要素を楽しめる。タッチペンで犬に触れ合ったりおもちゃで遊んだり、マイクで呼びかけたり芸を教えたり、すれちがい通信で他のプレイヤーの子犬と出会ってプレゼントの交換をしたりできるなど、DSの特性を生かした遊びがとことん充実している。あくまでカジュアルなコミュニケーションを重視しているため、子犬は成長しないし、世話を怠っても大したペナルティはない。基本的に易しいつくりだが、大会に関してはフライングディスクをうまくキャッチさせるもの、障害物をよけるよう誘導させるもの、芸の出来栄えを競うものなど、日頃の練習とその場の指示出しが肝要で挑戦的なバランスに調整されている。総じて気軽に子犬の愛くるしさを堪能できる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは若井淑氏。任天堂に所属する作曲家である。本作はDS初期の作品であるため、氏にとってDSでの音楽づくりは本作が初めてのようだが、本作以前には主にピクミンシリーズなどでの作曲経験がある。本作のほんわか明るいムードを彩るにあたって、ギターやピアノ、リコーダー、マリンバなどアコースティックな楽器を多く用いている。イージーリスニング系やジャズ、カントリー、ブルーグラス風味など耳に心地良いサウンドが揃っている。サウンドトラックは本作単体では未発売だが、メインテーマがTouch! Generationsシリーズサントラに収録されているほか、Nintendo Music経由で主要な楽曲が配信されている。

エキスパートクラスとマスターズクラスの大会で流れるのがこの曲である。大会BGMはこの他にも『大会:初級』『大会:上級』があるが、アレンジ違い等ではなく別曲として作られている。『大会:初級』はピアノやラッパを軸としたあたふたと大慌てな曲調で、『大会:上級』はギターと口笛を軸とした順風満帆なカントリーミュージックである。この曲はその中間ということもあって、慌ただしさのなかにこなれた感じがうまくブレンドしている。ピアノとバンジョーによるリズミカルなイントロで始まり、ラッパのアップテンポなメロディーが加わるとますます勢いに弾みがつく。17~20秒でピアノが意気揚々と音階を上り、後を追うようにラッパが続くことで、楽器たちが切磋琢磨して競い合っているかのような印象をもたらす。その後は一旦聴き覚えのあるメロディーに戻るが、44秒以降には新たなパートが待ち構え、ラッパとピアノに代わる代わる出番が与えられる。やがて55~57秒で手っ取り早く締め括り、1分より前にはループに入る。忙しいけど楽しい軽妙さに満ちた一曲である。

犬というと昔、祖父母が飼っていたよぼよぼのヨークシャーテリアを思い出しますが、たしか幼稚園前の話だったのでその後どうなったか覚えていないんですよね。それはそれとして『大会:初級』『大会:上級』もあわせてどうぞ。

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