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#1162 『一夜の恋』(劇団レコード/ノスタルジア Op.2/AC)

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コナミがおくる音楽ゲームノスタルジアより、

劇団レコード作曲、Op.2の『一夜の恋』。初期の収録曲の一つ。

ピアノを模した鍵盤デバイスが特徴のノスタルジアシリーズのナンバリング2作目にあたる本作。通常の演奏モードに加えて本作から新たに、場所(島とホール)や曲目を選択し、観客や審査員の猫たちに演奏を披露することで、成績に応じた評価やアドバイス、演奏報酬のゲーム内通貨が得られるRECITALモードが追加された。高評価を得るにはただリズムに合わせるだけでなく、打鍵の強弱を意識したり、あらかじめ定められたテーマに沿った曲選びをしたりするなど、より演奏者のセンスが求められる。また、一部楽曲にExpertを上回る難易度のRealが実装されたほか、オプション機能が大幅に拡張されて、自分好みにビジュアルの視認性やノーツの幅を設定できるようになった。要素の拡充に伴って従来以上に本物らしいピアノ演奏が楽しめる仕上がりとなっている。

本作では後から追加されたものも含めて最終的に新旧あわせて300曲以上の楽曲から遊べる。うち新曲は128曲、ノスタルジアオリジナルが半数ほどを占める。また、アップデートで新ジャンルとしてアニメ枠が追加された。シリーズのコンセプトにあわせてこれまで通り、版権曲や他機種からの移植はピアノを軸としたアレンジやリミックスが施されていて、オリジナル曲はピアノが主役を務める。このうち版権曲の編曲およびオリジナルの書き下ろしを担当しているBEMANI Sound Teamの劇団レコードこと広野智章氏は、コナミに所属している作曲家で、ノスタルジアシリーズはもちろん本家BEMANIポップンjubeatなど数多くの音ゲーに携わっている。サウンドトラックはオリジナル曲を中心に2枚組で収録されている。

本作オリジナルかつデフォルトの収録曲のうちの一つがこの曲である。イントロから滑らかで味わい深い旋律を奏でるボサノヴァ風のピアノナンバーで、その洒落たメロディーラインがさながら魔法のような陶酔感を生む。ピアノの後ろで響くやや湿り気のあるパーカッションがすこしビターな雰囲気を漂わせ、サビの34秒頃にはラッパが加わって円熟した演奏を披露する。以降、曲後半はずっとピアノの独壇場で、惚れ惚れするほど美しいリズムを奏でる。2分手前、もうすぐ曲が終わる頃に最後の盛り上がりを見せると、そのまま潔く締め括りつつ、かえって尾を引くような切ない余韻を残す。曲名通りの熱情を感じられる一曲である。譜面に関してはグリッサンドや同時押しが待ち受ける適度に刺激的な出来栄えとなっている。

素敵ですよね。同じく劇団レコード作曲で似た雰囲気のフォルテの『コルドバの女』も好きです。あわせてどうぞ。

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