VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1460 『A Home Amongst the Clouds』(Rainbowdragoneyes/The Messenger/NS・PC)

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Sabotage Studioがおくる2Dアクションプラットフォーマー・The Messengerより、

Rainbowdragoneyes作曲、『A Home Amongst the Clouds』。

過去のCloud Ruins(雲の遺跡)で流れます。

カナダのインディースタジオ・Sabotage Studioのデビュー作にあたる本作。悪魔に蹂躙された世界を舞台に、人類最後の生き残りが暮らす隠れ里を悪魔に滅ぼされた若き忍者は、一族の存亡がかかった伝説の巻物を賢者に届けるべく旅立つことになる。レトロ志向の2Dサイドビューアクションで、忍者龍剣伝にインスパイアされたと公言する通り、忍者ならではのアクションの手触りと歯応えが完備されている。開始時は8bitのステージクリア型アクションの形式を取るが、中盤からタイムトラベルするのにあわせて16bitのメトロイドヴァニアへとゲーム性とグラフィックが変化する点が大きな特徴である。アクション面では刀の薙ぎ払いや壁の張り付き、滑空などの個性的な動作に加え、本作を代表するシステムとしてCloudstepping(雲踏の術)というものがある。これはジャンプ中に敵を攻撃すると再ジャンプが可能となる代物で、使い方次第で連続でアクロバティックな動きを決めたり、ギミックを回避して颯爽とステージを駆け抜けたりすることができる。このシステムと、8bitと16bitを行き来する独自のゲーム性とが相まって、クラシカルであると同時にオリジナリティあふれる仕上がりとなっている。後にPS4とXboxOneに移植された。

本作の音楽を担当するのはRainbowdragoneyes氏。本名のEric W. Brown名義でも知られるアメリカ出身のドラマー兼作曲家で、Sabotage Studioのメンバーの一人である。Rainbowdragoneyes名義は主にチップチューン系の音楽を制作する際に使用していて、後に同じくSabotage Studio製のSea of Starsでも作曲することになる。本作ではレトロでキャッチーでメロディアスなサウンドが多く用意されている。前述の通り8bit(過去)と16bit(未来)を行き来するため、音楽も過去と未来でそれぞれ音源が分かれている。同じステージでも音源違いがあり、行き来するのに合わせて音源がシームレスに切り替わるさまを味わうことができる。サウンドトラックについては、8bit版と16bit版でディスクを分けて収録されているほか、DLCの追加曲を収録したもの、本編未収録だが忍者龍剣伝の作曲家である山岸継司氏によるトリビュートEPなども存在する。

過去のCloud Ruins(日本語名は「雲の遺跡」)で流れるのがこの曲である。黒の背景に雷鳴が轟くステージで、雲上ということもあって足場がすくなく落下しやすい難所である。未来に移ると一転して色調が明るくなり、広がる雲海と朽ちた遺跡のコントラストが美しいステージへと変わって『Civilization in the Sky』という音源違いが流れる。そうしたなか、イントロこそ丸みと切なさを帯びているが、7秒頃から重低音を交えてテンションを蓄えていくと、15秒でアグレッシブな曲調に変身する。22秒から入る主旋律はイントロのメロディーと共通しているが、高音域に移ってうねりを加えながら疾駆することで、非常に清々しく昂揚感あふれる印象を与えてくれる。38秒でキーを上げるとますます鮮やかさに磨きがかかり、雲を突き抜けるような爽快感を生み出す。一連のメロディーを奏で終えた後、54秒以降の間奏部分にも聴き応えがあり、特に1分1秒から等間隔に高音を散りばめたり、1分9秒から小粋なフレーズを披露して1分26~28秒でクールなソロを決めたりするくだりはよく耳に残る。パンチの効いた痛快な一曲である。

Sea of Starsの浮遊島や雲の王国でもこの曲のメロディーが引用されてますね。未来の『Civilization in the Sky』、Sea of Starsの『The Skylands』と『Kingdom in the Clouds (Day)』もあわせてどうぞ。

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