ケイブがおくる影絵忍者アクション・NIN²-JUMPより、
梅本竜作曲、『春～スコアアタック』。
スコアアタックモードの春ステージで流れます。
主にシューティングの開発で知られるケイブによるXBLA専用アクションとして登場した本作。悪の忍者にさらわれた桜姫を救うべく、凄腕忍者の主人公、ニン・ジャが立ち上がることになる。影絵劇をモチーフにした和の世界観が特徴で、物語に沿って全50面から成るステージを攻略するアドベンチャーモードと、無限に敵と戦い続けてハイスコアを目指すスコアアタックモードが用意されている。忍者らしい軽快なジャンプに、壁やフックを掴んで鮮やかに移動するクサリ、巻物を取得することで一気に敵を蹴散らせる無敵状態のニンジャパワーの3種類のアクションを使いこなしながら進めていく。劇がコンセプトということもあって、作中に子どもの歓声や声援が入る演出があるなど、シンプルなゲーム性ながらも独特な個性を放つ仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは故・梅本竜氏。ケイブ製の作品では主にアレンジアルバムや追加曲などを手がけていた。本作は氏が亡くなる4か月前に発売された、最晩年の担当作品の一つで、全曲単独で作曲した最後の作品でもある。和風らしさと影絵ならではのスタイリッシュさを表現するにあたって、ノリの良い和テクノ系の楽曲が揃っていて、ボス戦などでは激しいビートに和楽器が融合したハードコアなサウンドが堪能できる。また、スコアアタックモードの楽曲はアドベンチャーモードのアレンジで、いずれもエレキギターをフィーチャーしている。サウンドトラックについては、同じくケイブ製で和風かつ梅本氏の担当作である赤い刀のFM音源集と合わせて収録されている。
スコアアタックモードは開始時に春夏秋冬＋城の5ステージから一つを選択し、やられるまで同じステージで挑戦し続けることになるが、そのうちの春のステージで流れるのがこの曲である。アドベンチャーモードで流れる原曲の『春』とテンポやメロディーは概ね共通しているものの、15秒ほどイントロで溜めるそちらとは異なり、この曲は開始4秒ほどで早くもメインフレーズが始まる。軽やかで幻想的な色合いの強い原曲と比べて、シンセの代わりにエレキギターが響くことで、重厚で情熱的な勢いを生み出している。原曲はメインフレーズ1回（笛が主旋律で16小節分）で間奏を経てループするが、アレンジではメインフレーズ2回（笛16小節／ギター16小節）となり、イントロが削られたにも関わらず原曲より尺が伸びている。間奏パートにおける即興風のギター演奏の格好良さも相まって、スコアアタック特有の手に汗握る感覚をありありと伝える一曲である。
春というと陽気で朗らかなイメージになりがちですが、この曲はさながら春の嵐のような荒々しさがありますね。原曲もあわせてお聴きください。
