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#1044 『BOSS1』(荒川憲一/コットン リブート!/NS・PS4)

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BEEPがおくる元祖魔女っ娘シューティング・コットンリブートより、

平田健一作曲・荒川憲一編曲、『BOSS1』。1面のボス戦で流れます。

レトロゲームの買取を手がけるBEEPによる初の家庭用進出作として、1991年に稼働したサクセスのアーケード用横スクロールシューティング・コットン、そのX68000版移植をリメイクした本作。暗闇に覆われてしまった世界を舞台に、食いしん坊の魔法使い・コットンは、世界を救えば大好物のウイローがたくさん手に入ると聞いて戦うことになる。オリジナルの硬派なゲーム性に忠実なX68000モード、広範にわたる調整を施したアレンジモード、2分間もしくは5分間の制限時間内にできるだけ高得点を稼ぐスコアアタックモードが用意されている。特にアレンジモードでは、グラフィックの刷新・16:9対応・ボイス新録などに加え、敵撃破時に出現するクリスタルが落下せず撃つとショットが拡散するようになった点を筆頭に、遊びやすさに直結する部分におけるゲームシステムが改良されたことが特徴である。原作の魅力を残しつつ丁寧かつ大胆に変貌した仕上がりとなっている。

本作の原曲は、当時サクセスに所属していたMr.恵比寿こと平田健一氏が担当している。X68000モードではそのままの音源が、アレンジモードでは多数の作曲家によるアレンジ音源が収録されている。具体的には荒川憲一氏、小倉久佳氏、川田宏行氏、佐藤哲郎氏、並木晃一氏、細江慎治氏、松前公高氏、松本大輔氏、および近藤いな氏が編曲している。佐藤氏は当時、荒川氏は現在もサクセスに所属する作曲家であり、近藤氏は本作の開発元であるロケットエンジンの代表、細江氏は音楽制作会社スーパースィープの代表、松本氏はケイブ所属、小倉氏・川田氏・並木氏・松前氏はフリーランスの作曲家である。シューティングの造詣が深いベテランの作曲家が集結していて、一部例外はあるが主にステージごとに作曲家がついている(たとえば荒川氏の担当分は1面=道中+ボス戦の2曲)。原曲の雰囲気より各々の作風を尊重した大幅なアレンジを書き下ろしている。サウンドトラックは限定版に付属されている。

1面のボス戦で流れるのがこの曲である。イントロからガンガン飛ばすド派手なスタイルが印象的で、第一音からして十分強烈だが、そこに原始的な宴を思わせる謎の声が入ることで、荒れ狂うような異質さを漂わせる。声が途絶える13秒からは切なくも爽やかな音色で、スタンダードなシューティングサウンドらしい曲調へと様変わりする。その後も電子音とギターの組み合わせで気持ちの良い盛り上がりを見せ、第一印象を覆すポップでキャッチーな旋律を奏でる。が、36秒で早くもループすると再び例の宴が催され、耳にこびりついて離れないような響きへ逆戻りする。短い尺のなかで突飛なのに王道っぽくもある、秀逸なバランスを保つ一曲である。

曲として個性的なのはもちろんのこと、作中の雰囲気にもよく合ってますね。ちなみに原曲は一応ありますが、あまりに変わりすぎていて面影がないです。あわせてどうぞ。

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