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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1043 『ダンテ戦闘』(田崎寿子/真・女神転生III-NOCTURNE マニアクス/PS2)

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アトラスがおくるRPG真・女神転生より、

田崎寿子作曲、3マニアクスの『ダンテ戦闘』。ダンテ戦で流れます。

真・女神転生シリーズのナンバリング3作目に追加要素を加えた個数限定生産の完全版にあたる本作。東京受胎という謎の異変によって日常が終焉し、魔界化した世界を舞台に、普通の高校生から悪魔へと新生した主人公が、変わり果てたトウキョウで世界の在り方を決する戦いに身を投じることになる。無印版のディープなゲーム性に、新たにシナリオ・ダンジョン・ボスを加えてボリュームが増加したほか、難易度が二種類から選択できるようになり、ゲームバランスは元々骨太だが、HARDではいっそう熾烈な戦いを味わうことができる。また、カプコンデビルメイクライよりダンテがゲスト出演している点が大きな特徴で、要所要所でスタイリッシュに翻弄してくる様子を楽しめる。無印版と比べてより深く、隅々まで遊び尽くせる仕上がりとなっている。後にダンテをライドウに差し替えたクロニクルエディションが登場した。

本作の音楽を担当するのは田崎寿子氏、土屋憲一氏、目黒将司氏。田崎氏と目黒氏は当時、土屋氏は現在もアトラスに所属している作曲家で、いずれも無印版から続投している。土屋氏は2からシリーズに定期的に参加している一方で、田崎氏は3のみ、目黒氏は3とSJのみの参加である。本作では、独特な濃さと疾走感を誇る無印版の楽曲の大半を流用しつつ、ダンジョンの追加やダンテの登場に伴う新曲が書き下ろされている。サウンドトラックは新曲のみ収録したものが存在するほか、HDリマスター版のサウンドコレクションに無印版の楽曲も含めて網羅的に収録されている。

ダンテとの戦闘で流れるのがこの曲である。容赦のない戦いぶりを披露するデビルハンターとの激闘を、同じく容赦のないストイックなテクノ調で華麗に彩る。退廃的なオルガンと苛烈なシンセが混ざり合い、異様なほどに疾走感あふれる曲調を形作ることで、逃れられない恐怖と焦燥感を印象付ける。24秒ほどで一旦流れが止まってエレキギターが入ると、そこからさらに荒々しくも緻密な旋律が紡がれる。その後も終始畳みかけるような勢いで進行することで、実際のテンポこそ変動しないが、聴けば聴くほど加速していっているような錯覚をもたらす。痺れるような圧迫感と昂揚感を生む一曲である。

コラボキャラの戦闘曲ならDMCの既存曲をアレンジするのが常套手段でしょうけれども、それをオリジナルでものすごく格好良く仕上げてくるあたり、さすがですね。ヘッドホンとかで爆音で聴き浸るのが好ましいです。