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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1085 『44ロック』(植松伸夫/半熟英雄 対 3D/PS2)

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スクエニがおくるシミュレーションRPG半熟英雄より、

植松伸夫作曲、対3Dの『44ロック』。

ラスボス戦で流れます。

卵からモンスターを召喚して戦うリアルタイム要素ありのシミュレーションRPG半熟英雄シリーズの3作目にあたる本作。二次元で暮らす主人公のぐうたら王子は、声に導かれるようにして三次元の異世界に迷い込み、カトリ王国の姫に見初められて共に謎の3D軍団に立ち向かうことになる。自軍は2Dのドット絵、敵軍は3Dで物語が進むにつれてどんどんリッチな見た目に変わっていく独特なグラフィック表現が特徴で、元々コミカルだった雰囲気がさらに激化している。また、前作とは異なり、エッグモンスターを召喚できるのは自軍のみのため、自軍が有利なバランスになっている。全体的に演出が長めだったり繰り返しが多かったりしてゲームテンポはゆったりしているが、徹底的にネタに特化した意欲作に仕上がっている。

本作の音楽を担当するのは植松伸夫氏。当時スクエニに所属していた作曲家で、半熟英雄シリーズには初代で作曲し、前作では不参加だったが、本作で再度担当することになった。本作ではギャグテイストな世界観にあわせて、陽気なマーチから威圧的なオーケストラ、疾走感のあるプログレ、ハイテンションなボーカル曲まで各種取り揃えられいる。また、随所に初代のアレンジ(音源も8bit風のまま)があったり、自社パロディの一環としてFFシリーズからのオマージュ曲があったりする。サウンドトラックには本作の楽曲に加えて初代の楽曲もあわせて収録されている。

四次元皇帝とのラストバトルで流れるのがこの曲である。三次元の敵と戦っていたはずが、最後になってさらに見かけ上は四体に分裂している高位の存在と戦うことになる。はじめこそラスボス戦に誂え向きな不穏で悲劇的なオーケストラが奏でられるが、22秒からドラムが入って軽快なバンドサウンドっぽい雰囲気へと転ずる。31秒からはさらに唄が入り、気の抜けるような歌詞と歌声が、それまでのシリアスな流れを一気に変える。ロックはロックでもブギーロックのようなノリの良さが印象的で、間奏部分(1分20秒~42秒)でやや勢いを抑えるときでさえ相変わらずネタに走っている。一般的にはラスボス戦らしからぬ曲調に感じられるが、こと本作においてはマッチしている一曲である。

3曲まとめていただいたリクエストの第2弾です。コミックソングですね。