ジャレコがおくるアクションアドベンチャー・バイオ戦士DANより、
増子司作曲、『ステージ4』。4面で流れます。
アトラスが開発した初期の作品であり、ジャレコが発売した本作。2081年、超増殖宇宙生命体・インクリーザーによって絶滅寸前の人類は、バイオ技術で強化された青年・DANに最後の希望を託し、インクリーザーが出現した1999年にタイムスリップして破滅の未来を阻止することになる。全5面+ラスボス面から成るステージクリア形式の探索型アクションで、武器の購入や強化をはじめとするアドベンチャーやRPG風の要素が含まれる。特筆すべきはマザーバイタリティというゲージで、これは各ステージのボスの体力を示していて時間経過とともに蓄積される。通常のカウントダウン式の制限時間とは異なる変則的な仕様で、最大まで溜まるとミス扱いになり、手早くステージを踏破するほどボス戦で削る必要のある体力がすくなくなる。苦戦を覚悟してなるべく探索してからボスに挑むか、早めに切り上げて速戦即決を目指すか、プレイスタイルに応じて進め方を選ぶことができる。基本的には王道でシリアスなSFの世界観だが、なぜか住民と押し相撲するミニゲームが発生したり、宿で休むと縁側で浴衣姿で涼むイラストが挟まれたりするなど、コーヒーブレイクを兼ねたギャグ要素が散見される。総じて手堅さと珍妙さが入り混じった仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは増子司氏。作中にはスタッフロールはないが、氏自身のホームページや後年のインタビュー等で明かされている。例によってBGMに加え効果音やデータ作成も一手に担っていたようである。本作ではメロディーの魅力や音色の厚みを活かしたキャッチーで疾走感あふれる楽曲が揃っていて、なかには不気味なものや暗澹としたものもある。また、随所に挟まれるユーモラスなシーンには雰囲気に合わせたユーモラスなBGMが用意されていて、中華風や演歌風の能天気なサウンドを楽しむことができる。サウンドトラックについては、ジャレコのファミコンソフトを集めたRom Casette Disc In JALECOのなかに本作の楽曲が収録されている。
4面で流れるのがこの曲である。ここは崩れかけた洋風の神殿のようなステージである。ゲームの後半戦にあたるステージらしく、出だしから昂揚感に満ちた秀逸なメロディーで心を掴んでくる。イントロにはヒーローソングのような直感的な熱さがあるが、21秒から高音を絡めて粘り強くフレーズを反復し、やがて42秒でサビに到達すると必ずしも歌モノに近い曲調というわけではない独自の展開をみせる。素早く整然と刻まれるリズムと低音で支えるベースの上に、まるで雲間を搔き分けて走る電光のように鮮やかな高音のアルペジオが重なることで、音数のすくなさを忘れさせるほどに抜群の表現力を生み出す。テンション、パッション、モチベーションを見事に兼ね備えた一曲である。
テンション、パッション、モチベーション、テレポーテーション、キャトルミューティレーション! ……いえ、調子乗ってなんとなく口に出したい言葉を並べただけです。