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#978 『ROUND 6』(多和田吏/伊賀忍術伝 五神の書/AC)

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ジャレコがおくるアクション・伊賀忍術伝より、

多和田吏作曲、『ROUND 6』。最終面で流れます。

ジャレコ製のアーケード用の任意スクロール型アクションとして登場した本作。忍法が書き記された密書・五神の書を取り戻すべく、忍者の主人公・カザンは世界中を旅することになる。全6面のライフ制、開始時点では初期装備は刀、使える忍法は一種類だが、武器は各地にいるお坊さんに会うことで変化し、忍法はステージをクリアするたびに最大五つまで使用可能な技が増えていく。忍者モノだが、舞台は日本のみならずアメリカやアフリカなど世界各地に散らばっていて、それにあわせて敵も原住民やケンタウロスといった曲者が出現する。キャラの頭身が高めであるために移動が遅く当たり判定も大きいなど、やや大味なつくりとなっている。後にアーケードアーカイブスの一環としてPS4とスイッチに移植された。

本作の音楽を担当するのは多和田吏氏。当時ジャレコに所属していた作曲家である。なかでも本作はキックオフなどと並び最初期の担当作の一つで、FM音源+サンプリング音を使った個性的な楽曲が揃っている。和風の枠にとらわれないアップテンポでノリの良いサウンドが多く、軽快なドラムやハンドクラップなども交えて国際色豊かなステージやボス戦を盛り上げてくれる。サウンドトラックについては、ジャレコのアーケードサウンドをまとめて収録したもののなかに本作の音源が含まれるほか、本作単体でもデジタル配信されている。

最終面にあたる6面で流れるのがこの曲である。舞台は日本、いよいよ最後の戦いに向けてからくり屋敷のようなステージを踏破することになるが、その道中を非常にキャッチーでヒロイックな曲調で彩る。金属質な大正琴っぽい音色による独特なイントロから始まり、続いてドラムと主旋律が入ると、また16秒あたりで派手な音階が掻き鳴らされ、今度は主旋律が小刻みに音を区切りながら疾走感を蓄えていく。30秒で伴奏のアルペジオを伴いながら伸びやかな高音を奏でると、さらに43秒には小さめの音から徐々にボリュームを上げて鮮やかな間奏を紡ぐ。フレーズが終わった頃に例のメタリックな音階が響き、違和感なく次のループへと繋がる。最終面らしい勢いと耳心地の良さに満ちた一曲である。

この曲は割と和風っぽいほうですかね。他にも剣闘士やら何やらが出てくる3面(ギリシャ)で流れる、いかにも多和田さんっぽい不思議な心地良さと格好良さのある曲も好みです。『ROUND 3』、あわせてどうぞ。

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