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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#902 『攻城戦』(小六禮次郎/決戦II/PS2)

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コーエーがおくる歴史ドラマシミュレーション・決戦より、

小六禮次郎作曲、2の『攻城戦』。攻城戦で流れます。

史実をベースにした決戦シリーズのうち、ナンバリング2作目にあたる本作。漢帝国末期の時代を舞台に、一地方の領主である劉備は、最愛の恋人・貂蝉を、天下平定の野心を持つ曹操にさらわれたことをきっかけに大いなる戦に挑むことになる。前作は日本の戦国時代だったが、本作は中国の三国時代に舞台を一新し、ひたすら愛の道を征く劉備をはじめ、かなり派手に史実のシナリオおよび人物像を改変している。合戦は500人規模の兵がリアルタイムで激突して繰り広げられ、計略や妖術によって直接戦闘に介入できるほか、戦闘ステージのバリエーションも増え、水上戦や攻城戦といった要素が追加された。シリーズのなかでも一際ファンタジー色の強い仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは小六禮次郎氏。映画やドラマの劇判を多く手がける作曲家で、大河ドラマの担当経験もある。ゲーム音楽方面では決戦シリーズのみに参加していて、前作から引き続き単独で作曲している。本作も前作同様、モスクワ・インターナショナル・シンフォニック・オーケストラの生演奏による重厚なオーケストラサウンドが揃っていて、古筝(琴に似た撥弦楽器)や胡弓などの中国の伝統的な楽器もところどころに取り入れている。サウンドトラックはボーナストラックとしてオープニングのシンセバージョンも含めて収録されている。

成都攻略戦や陳倉攻防戦など、城門をぶっ壊して派手に攻め入る攻城戦で流れるのがこの曲である。緊張感と昂揚感が絡み合う弦楽器の高音から始まり、5秒あたりから勇ましさ全開の管楽器が入ると、さらに20秒過ぎに伴奏の低音が加わって猛々しさに磨きをかける。40秒からは弦楽器と管楽器で主旋律をかわるがわる担当し、弦と管の両雄が互いに切磋琢磨し合うかのように、美しくも激しい盛り上がりを見せ続ける。城を攻め落として進軍する、血気盛んな勢いを力強く表現した一曲である。

こういう派手で迫力満点のオーケストラサウンド、いいですよね。戦闘曲というより戦争曲ですね。