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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1275 『Rise Against Ruin』(Gareth Coker/Ruined King: A League of Legends Story/NS・PS4・XOne・PC)

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Riot Forgeがおくるターン制RPG・Ruined Kingより、

Gareth Coker作曲、『Rise Against Ruin』。ラスボス戦で流れます。

Riot GamesのMOBA・League of Legendsのスピンオフ作品群のうち、Riot Forgeレーベルから発売される第1弾にしてAirship Syndicateが開発した本作。海賊たちの港町・Bilgewaterと、破滅の黒き霧で覆われた島々・Shadow Islesを舞台に、Miss Fortuneらチャンピオンたちは、Bilgewaterに忍び寄る霧の謎に立ち向かうべく冒険することになる。LoLの世界観とキャラで繰り広げられる群像劇風のターン制RPGである。各地を巡り、仲間を増やし、ときにはサイドクエストをこなしながら物語を進めていく、いわゆる標準的なRPGの形式に則っている。戦闘は最大3人編成で素早さや行動コストに応じてターンが回ってくるウェイト制で、コマンドによっては動作を早めるか遅らせるかを選んで威力や行動順を調整することができる。そのため、いかに先を見据えて有利な流れを形成するかが攻略の鍵となる。チャンピオンごとに戦闘の役割が異なり、アップグレードを通じて自分好みにカスタマイズできる成長要素も搭載されている。スピンオフらしく原作の設定や背景描写を色濃く受け継ぎつつ、異なる切り口からLoLユニバースを掘り下げた仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのはGareth Coker氏。オーケストレーション担当として氏自身に加えてDavid Peacock氏も参加している。Coker氏はイギリス出身の作曲家で、LoL関連作品を手がけるのは本作が初めてのようだが、Airship Syndicate製の作品で言うと本作以前にDarksiders Genesisで作曲した経験がある。Peacock氏は主にアレンジやリミックスの分野で活躍するアメリカ出身のサウンドクリエイターで、Coker氏とは本作以前にもOriシリーズのオーケストレーションにおいて共作したことがある。本作の音楽は、アコースティックな弦楽器を中心としたリッチなオーケストラサウンドが揃っていて、重厚なファンタジーらしい壮大さと民族音楽的な雰囲気が心地良くブレンドしている。サウンドトラックは各種サイトでデジタル販売されている。

ラスボス戦で流れるのがこの曲である。滅びの王との決戦を彩るにあたって、本作のメインテーマ『The Ruined King』の悲壮な戦闘アレンジであり、元を辿れば原作由来の『Viego, the Ruined King』(作:Kole Hicks)をベースにした旋律で、迫力満点に盛り上げてくれる。踊るように優雅な響きを帯びた弦楽オーケストラと、一定間隔で奏でられるダルシマーと思しき撥弦楽器の音色を組み合わせることで、独特な悲劇的な曲調を生み出す。コーラスや吹奏楽器、ときには45秒以降で叩きつけるように響くピアノや、厚く重苦しい金管楽器を交えながら、美しいようで恐ろしいようで哀しいようで狂おしいような、聴いていると様々な感情が押し寄せてくる壮大な演奏を披露する。特に1分23秒からのコーラスパートには、さながらクラシックの一節のような甘美さがあるが、それが終わった途端、1分58秒からは打って変わってドゥーム感の強い音色が響くようになる。最大のサビと言える2分50秒からは、コーラスの甘美さとオーケストラの重厚さが見事に絡み合い、身の毛がよだつような凄まじい盛り上がりをみせる。鬱然たる勢いに満ちた一曲である。

息が詰まる重さですね。『The Ruined King』と『Viego, the Ruined King』もどうぞ。

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