VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1274 『ようこそ!はにい』(松平あこ/はにい いんざ すかい/PCE)

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FACEがおくるシューティング・はにいいんざすかいより、

松平あこ作曲、『ようこそ!はにい』。1面で流れます。

主にアーケード方面で展開していたFACEの家庭用機参入作品にあたる本作。日本神話の世界を舞台に、はにわの主人公・はにいは、国産みの女神・いざなみの心に邪悪な者が侵入して暴走していると聞き、これを鎮めるべく出陣することになる。周回ありで全8面構成のライフ制縦スクロールシューティングで、自機がはにわである点に加え、舞台設定や登場する敵、装備などが日本神話由来である点が特徴である。砲塔さながらに自機を回転させてショットの向きを調整する要素があり、ボタンを押すたびに45度ずつ右回りに動き、計8方向に攻撃を放つことができる。道中で神さまに頼んで、敵を倒すことで得られる霊力をアイテムと交換したり、一度訪れたことのあるステージに移動したりする機能も搭載されている。うまく攻略するには装備を適切に整えるほかに、敵の配置やショットの向きをあらかじめ把握しておくことが肝要で、全体のつくりは奇抜であると同時に骨太でもある。見た目も中身も一風変わった噛み応えのある仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは松平あこ(岩永敦子)氏。当時アークシステムワークスに所属していた作曲家である。また、1曲のみの担当でスタッフロール未記載だが夫の岩永研一氏も作曲している。本作では日本神話的な世界観でありながら、音楽は必ずしも和風ではなく、独自のアップテンポさが感じられるもの、サイケデリックな色味のあるもの、クラシカルな印象を纏ったものなど、突飛な作風に見合った個性的な楽曲が揃っている。作中のスタッフロールに曲名が列挙されていて、そのなかにパヴァーヌトッカータといった日本神話らしからぬ単語が含まれている点も印象深い。サウンドトラックは本作単体では長らく存在しなかったが、発売から20年経ってオリジナル音源に加えてアレンジも追加したアルバムがリリースされた。曲名は作中の表記とサントラで(主にハードの制約上、表示できる文字が限られていたことから)一部異なるが、ここでは後者に倣うものとする。

1面で流れるのがこの曲である。開始直後、陸と海と前方後円墳のような形の島がみえるステージを彩るにあたって、出だしでまず小刻みに音階をのぼるフレーズを奏でて勢いを溜める。2秒ほどして主旋律が入ると、その丸みと憂いを帯びた音色が、目まぐるしく鳴る伴奏や、かっちりと拍を打つ打楽器と相まって、前向きなようで切ないような独特な響きを生む。一昔前のシンセポップを思わせる、ノリとノスタルジーを兼ね備えた節回しが特徴的で、一つ一つの音が耳にすんなり入ってくるような、聴いていると安堵感を覚えるような印象を与える。30秒過ぎからはイントロで聴き馴染みのある音階が再度加わり、すこし明るめなフレーズを披露した後、44秒でぴたりと静止する。あえて間を置くことで、そのあとに続くメロディーの存在感が増していて、キーが上がったことも影響して、特に高音域を中心により強い哀愁を放つようになる。1分13秒で再び静止を挟むと元のキーに戻る。耳に残る心地良さがある一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。サントラにボーカルアレンジ(唄は織姫よぞらさんによるもの)があって、そちらはますますシンセポップっぽいです。『けついのつばさ』、あわせてどうぞ。

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