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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#917 『レインバレー』(門倉聡/メタルマックス2/SFC)

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データイーストがおくる戦車と犬と人間のRPGメタルマックスより、

門倉聡作曲、2の『レインバレー』。レインバレーなどで流れます。

戦車(クルマ)を駆って賞金首を狩るメタルマックスシリーズの2作目にあたる本作。荒野と化した近未来を舞台に、凶悪なバイアス・グラップラー集団に両親と育ての親を殺された主人公の少年は、ハンターとなって仇討ちを果たすことになる。前作の世界観を受け継ぎつつ、本作ではハードの移行によりグラフィックが大幅に進化し、以降のシリーズの顔として知られる犬(一緒に戦ってくれる頼れる仲間)が初登場した。パーツごとに改造可能なクルマまわりのシステムも強化され、一から製造できる要素も含まれている。前作で築き上げた作風を継承し、シリーズらしさを定着させた仕上がりとなっている。後にGBAに移植されたほか、DS向けにリメイクされた。

本作の音楽を担当するのは門倉聡氏。主にJ-POPへの楽曲提供やアニメの劇伴などを手がける作曲家で、前作に引き続きの参加である。本作以降もシリーズには欠かさずに携わっていて、メタルマックスにその人ありと言うべきシリーズサウンドの立役者である。本作ではところどころ前作のアレンジも取り入れつつ、シビアでシリアスな雰囲気にあわせて、クールなものからメランコリックなものまで情緒豊かな楽曲が揃っている。また、DS版の編曲および追加曲の作曲も氏の担当である。サウンドトラックについては、歴代のシリーズ曲を網羅したものが約17年後の発売となる3の限定盤に付属されている。

ラストダンジョン手前の、止むことのない酸性雨が降り注ぐ地帯・レインバレーで流れるのがこの曲である。イントロからして穏やかならざる気配を漂わせていて、ストリングスと思しき主旋律の滑らかで美しい調べとは裏腹に、聴けば聴くほど不安を掻き立てるような印象を与える。ハープ風の伴奏は、音そのものは澄んでいて綺麗だが、そこはかとなく不穏な音階を奏で、15秒からは息を潜めてときどき零れ落ちるような繊細な音色を響かせる。30秒足らずで1ループに達する短い曲だが、尾を引くような余韻と胸騒ぎを残す一曲である。なお、例外的にゲーム開始直後のイベントシーンでも使用されていて、悲劇的な開幕をものの見事に彩ってくれる。

DS版では曲名が変わって『エンドレス・レイン』となっていて、ミステリアスな電子音楽っぽいアレンジに仕上がっています。あわせてどうぞ。

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