角川ゲームスがおくる戦車と犬と人間のRPG・メタルマックスより、
門倉聡作曲、3の『WANTED!』。
原曲は初代から受け継がれている『お尋ね者との戦い』で、賞金首戦で流れます。
上記動画の5:08から6:25まで。
戦車と愛犬とともに荒野を駆るメタルマックスシリーズのナンバリング3作目として、キャトルコール、エンターブレイン、クレアテックが共同で開発した本作。伝説の大破壊により荒廃した近未来を舞台に、死んだ状態から蘇生された記憶喪失の主人公は、自らの正体を知るべくモンスターが闊歩する荒野へと旅立つことになる。シリーズおなじみの戦車の改造、装備やアイテムの収集、凶悪な賞金首モンスターとの攻防などに加えて、新たに酒場で仲間を募集・編成できるマルチパーティーシステムが導入された。戦闘は5段階でスピードが調整可能で、プレイスタイル次第で爆速のバトルを楽しむことができる。シナリオは概ね一本道だが、特殊な分岐エンドが存在したり、サブキャラの生死にかかわるイベントが充実していたりするため、シリーズの特徴とも言える自由度の高さは本作でも健在である。2以来17年ぶりのナンバリング新作として、独特な濃さを持つシリーズらしさを順当に継承した仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは門倉聡氏。メタルマックスシリーズには初代から携わっているおなじみの作曲家である。本作ではシリーズ特有のシビアでパワフルな作風を受け継ぎ、ギターやオルガンを用いた重厚だがノリの良いサウンドが多く揃っている。また、例によって過去作から使い続けている曲もある。サウンドトラックは初回限定盤に歴代シリーズの楽曲ととも本作のBGMを一部収録したものが付属されていたほか、本作の楽曲を網羅的に収録したうえで短いジングルやアレンジなども含めたものも存在する。また、サントラに収録されている音源は総じて実機音源よりも音質が向上している。
賞金首戦で流れるのがこの曲である。賞金首は別名WANTEDモンスターとも呼ばれるシリーズおなじみのボスで、討伐すれば相応の懸賞金を手にすることができるが、いずれも個性派揃いで一筋縄ではいかない難敵である。原曲は初代から連綿と受け継がれている『お尋ね者との戦い』で、本作で再録されるにあたって改題された。初っ端からエレキギターやオルガン、パーカッションを組み合わせた勢いあふれるアンサンブルでド派手な印象を植え付け、10秒過ぎからメインフレーズに入ると、その旋律は熾烈な悲壮感を漂わせる。原曲のFC音源や2のSFC音源と比べて、音の感触がより悲劇的な色合いを帯びていて、全体的な曲調は踏襲しているなかでも一味違う聴き応えを持つ。特に32～35秒（上記動画では5:40～5:45）のフレーズは鋭く打音を響かせることで、ドラムマーチのような意気盛んで好戦的な雰囲気を感じさせる。物悲しくも猛々しい、痺れるような昂揚感に満ちた一曲である。
『お尋ね者との戦い』を紹介してほしいというリクエストをいただきました。サントラ収録版はシンセストリングスをフィーチャーしつつわずかにテンポが上昇しているようで、実機とだいぶ差がありますね。3サントラ音源、原曲のFC音源（冒頭にエンカウントジングル付き）、2のSFC音源もあわせてどうぞ。
