SIE JAPAN Studioがおくる360度全方向アクション・アストロボットより、
Kenneth C M Young作曲、『What Was That?』。ワールド4-4などで流れます。
SIE謹製のPSVR専用プラットフォーマーとして登場した本作。プレイヤーは小型で表情豊かなロボット・ASTROを操作し、迷子になった仲間のBOTたちを探すことになる。全5ワールド・各4面+ボスから成るステージクリア型の3Dアクションで、基本的にはASTROを動かす3人称視点で進行するが、カメラはプレイヤーの向きに対応しているし、状況に応じてASTROがプレイヤーに振り向いたり目を合わせたりするなど、1人称視点の要素が含まれる。ステージは全方位に広がるものの、自然と行き先が掴めるような誘導が充実しているため、探索意欲を掻き立てつつも迷いにくい設計になっている。アクションに関してはジャンプ・パンチ・空中ホバーの3つを軸に、頭突きや覗き込みといったVRらしい体感的な操作や、巨大な敵を相手にギミックを駆使して戦う大迫力のボス戦など、多彩な遊びを楽しむことができる。ロボットたちの愛らしい仕草や、カジュアルだが適度にやり応えのある難易度も相まって、VRならではの没入感と遊び心に満ちた力作に仕上がっている。
本作の音楽を担当するのはKenneth C M Young氏。Kenny Young名義でも知られるスコットランド出身のフリーランスの作曲家で、かつてソニーのロンドンスタジオに在籍していた経験がある。本作を担当した後、続編のASTRO's PLAYROOMでも引き続き作曲することになる。本作ではロボットが主人公ということもあってか、近未来的なエレクトロニックサウンドを中心に据えつつ、ロックやオーケストラ、ファンクなど、バラエティ豊かなサウンドが揃っている。主に戦闘曲などでみられるように、複数の楽曲間で共通のフレーズを用いている点が特徴である。サウンドトラックは通常販売のもののほか、無料体験版のダウンロード特典として一部楽曲を収録したものが付属される。
ワールド3-2「なりゆきトレジャーハント」の洞窟内や、ワールド4-4「クリスタルドクロの魔窟」などで流れるのがこの曲である。同じく洞窟系の曲である『Tite Mites』『Inside The Whale』と旋律を共有するが、楽器構成が異なる微アレンジである。管弦楽器の重低音や不気味な口笛を軸に、イントロの20秒間ほどでたっぷり焦燥を煽った後、23秒頃からリズミカルなビートが参戦する。相変わらず不穏な響きを帯びているものの、不思議と好奇心をくすぐるような軽快なノリが感じられるようになる。45秒以降はさらに前向きな勢いが強まり、依然としてオーケストラは重く分厚く響き渡るが、全体としてはむしろ探索気分を楽しく彩る瑞々しい印象を与える。1分8秒あたりで馴染みのフレーズに戻ると、以前とは主旋律が変わってより華やかで麗らかな雰囲気を漂わせる。先の見えない暗い洞窟をかき分けて進む、不安と危険と怖いもの見たさの心理を如実に表現した一曲である。
曲名は怯えと怪訝が混じった感じのニュアンスでしょうかね。『Tite Mites』、『Inside The Whale』もあわせてどうぞ。