comceptとインティ・クリエイツがおくるロボットアクション、Mighty No. 9より、
山田一法作曲、『トリニティ / Trinity』。ラストバトルで流れます。
ロックマンシリーズのディレクターやプロデューサーを務めてきた稲船敬二氏率いるcomceptがインティ・クリエイツとともに開発した本作。娯楽としてのロボット同士のバトルが流行する近未来を舞台に、突如発生したロボット暴走事件を解決すべく、バトルの人気チームの末っ子であるMighty No. 9のベックが立ち向かうことになる。8bitや16bitの横スクロールアクションの流れを汲みつつ、ショットやジャンプといった基本アクションだけでなく、相手の能力を吸収して変形するカスタマイズ性にも富んでいる点が特徴である。複数機種で発売されたが、WiiU、PS3、PS4はすでに配信終了済みである。
本作の音楽を担当するのは青木征洋氏、立石孝氏、松前真奈美氏、山田一法氏、吉野克則氏。吉野氏を除き、いずれも軒並みロックマンシリーズでの作編曲の経験がある作曲家たちである。また、主題歌のみの担当でアメリカ出身のナードコアラッパー・Mega Ran氏が、DLCのレトロヒーローにおける8bit風アレンジはtappyこと春日達彦氏が手がけている。本作の楽曲はいずれも爽やかな疾走感にあふれたロックナンバーが揃っている。サウンドトラックは28ページにも及ぶ作曲家のロングインタビュー付きで、8bit版およびボーナストラックのテーマソングアレンジを含めて全曲収録されている。
ラストバトルの第二形態で流れるのがこの曲である。通常のボス戦およびラスボス第一形態で流れる『立ちはだかる仲間たち / Allies Obstruct』(こちらも山田氏の作曲)と一部似たようなフレーズを共有する戦闘曲で、そちらと比較してテンポを増したことにより、さらにエレキギターのキレに磨きがかかっている。ピアノやシンセの間奏を挟むことで、その突き抜けるような清涼感が、猛々しく響くギターの轟音と見事に溶け合い、濃厚でありながら重苦しさを感じさせない爽快感を醸し出す。聴けば聴くほど耳馴染みする魅力に満ちた瑞々しい一曲である。
ライナーノーツの充実ぶりは一見の価値ありです。『立ちはだかる仲間たち / Allies Obstruct』もあわせてどうぞ。