VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#669 『ボス戦』(坂本慎一・わたなべひろみつ/時空戦記ムー/GB)

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ハドソンとウエストンがおくるRPG・時空戦記ムーより、

坂本慎一・わたなべひろみつ作曲、『ボス戦』(仮称)。ボス戦で流れます。

上記動画の11:00から12:26まで。

漫画家のおちよしひこ氏がキャラクターデザインを手がけたことで知られる本作。架空のムー大陸を舞台に、辺境の村に住む主人公は、プリナ王国の宗教改革に乗じて現れ始めた魔物たちから街々を解放していくことになる。当時としては珍しく男女選択制の主人公の輪郭や目などを組み合わせてキャラクターメイキングができるようになっているほか、基本的には4人パーティだが加入する仲間は20人もいて、好みに応じて複数パーティを構築できるなど、意欲的な要素が多い。総じてゲームボーイ初期の作品ながら斬新さが光る仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは坂本慎一氏とわたなべひろみつ(漢字表記は不明)氏。坂本氏は当時ウエストンに所属していた作曲家で、わたなべ氏に関しては情報がすくないが、同時期にウエストン作品に携わっていたNAPALM HIROMITSUやNAPALM WATANABEと同一人物と思われる。本作では王道のRPGらしい熱い楽曲が揃っていて、制約の多いGB音源でも表現力豊かなファンタジーサウンドを堪能できる。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

ボス戦において流れるのがこの曲である。イントロからパワフルに響く重低音が印象的な戦闘曲で、小気味よくリズムを刻むハイハットが、アップテンポな曲調をいっそう疾走感たっぷりに彩ってくれる。サビのメロディーラインの秀逸さに加え、20秒過ぎたあたりで、ノリの良さを保ちつつ、じりじりと焦燥感を蓄えていくことで、再び37秒でサビに回帰した際の開放感を鮮烈に印象付ける。1ループ40秒程度の短さのなかにボス戦ならではの格好良さを凝縮した一曲である。

正式名称ではないようですが、この曲には誰が付けたのか『普遍化する律動の力』という通称があるそうですね。