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#668 『秋の陣』(古賀博樹/天下一将棋会/AC)

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コナミがおくる全国オンライン対戦将棋ゲーム・天下一将棋会より、

古賀博樹作曲、『秋の陣』。対局時の季節が秋のときに流れます。

麻雀格闘倶楽部と同じ格闘倶楽部シリーズの作品として、将棋をテーマに登場した本作。ルールは概ね将棋そのものを踏襲しているが、互いの思考時間は5分間、超過した場合は1手10秒で指すことになり、長期戦への対策として200手を超えると無条件で引き分けとなる。段位制や棋力判定により、指し方や腕前に応じた指標が示され、マッチング時に実力が伯仲するプレイヤーと優先的に対局できる。また、CPU相手であれば鬼神瞑想という対局サポートシステムであれこれと試し指しでき、初心者でも気兼ねなく挑戦できる。演出面にも凝っていて、30手ごとに盤面の背景が変わって四季折々の世界観を楽しめるなど、アナログの将棋とは一味違う魅力を持った仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは古賀博樹氏。当時コナミに所属していた作曲家で、本作以外にもBEMANIQMAなど多数のアーケードタイトルに携わっている。続編の天下一将棋会2でも引き続き単独で作曲をおこなっている。本作ではMFC譲りのノリの良い和風サウンドが揃っていて、麻雀と異なり将棋は運に左右されないためか、情熱的でありながらも独特な落ち着きを備えた楽曲が多い。また、状況に応じて音楽のテンポが上昇するなど、インタラクティブな仕掛けが組み込まれている。サウンドトラックはCDこそ存在しないが、コナミ直営の音楽サイト・着信☆うた♪にて一部の楽曲が配信されている。

春から始まって三番目に巡ってくる秋の季節の際に流れるのがこの曲である。軽快な三味線と笛の音が印象的な和風テクノで、しっかりと刻まれるリズムとビートが、ちょうどいい塩梅に真剣勝負の緊張感を煽ってくれる。その鮮やかで爽やかな音使いは、疾走感に満ちつつ、理知的な冷静さをも持ち合わせていて、どんな状況でも光明を見出せそうな力強い勇気をもたらしてくれる。優勢でテンポが上がると、笛の高音がより美しく映え、一気に畳みかけんとする気迫を感じさせる。

テンポが上がったものも音源があれば紹介したいのですが、ちょっと単独では見つからないので割愛。かわりに2の『秋の陣』をあわせてどうぞ。

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