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#667 『Rising Sun』(弘田佳孝/シャドウハーツII/PS2)

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ノーチラスがおくるRPGシャドウハーツより、

弘田佳孝作曲、2の『Rising Sun』。日本街で流れます。

クーデルカの系譜を継ぐシャドウハーツシリーズのナンバリング2作目として登場した本作。前作のバッドエンドから半年後、第一次大戦下の欧州各地および大日本帝国を舞台に、最愛の恋人を亡くした主人公・ウルは、再び悪魔や死者再生をめぐる悲劇に巻き込まれることになる。ジャッジメントリングを主軸に据えた戦闘システムはそのままに、新たに攻撃を強化したり攻撃回数を増やしたりできるリングカスタムや連携、コンボなどの新要素が多く搭載されている。シナリオは前作以上にギャグ成分が強くなっているなか、物語そのものの悲痛さも増していて、独特な味わい深さを感じられる仕上がりとなっている。後に追加要素を加えたディレクターズカット版が発売された。

本作の音楽を担当するのは伊藤賢治氏、小林友子(井元ともこ)氏、弘田佳孝氏、光田康典氏。このうち弘田氏と光田氏は前作でも携わっていて、弘田氏は引き続きメインコンポーザーを務めている。ディレクターズカット版の追加曲もすべて弘田氏が手がけている。どこかダークでオリエンタルな雰囲気を醸す世界観にあわせて、本作でも種々様々なジャンルの音楽を取り入れた豊かなサウンドが揃っていて、なかには弘田氏、光田氏、伊藤氏の三人による合作の戦闘曲もあるなど、挑戦的な姿勢を窺うことができる。サウンドトラックは2枚組で発売されていて、ディレクターズカット版の追加曲は次作のプレミアムBOX特典のCDに収録されている。

物語後半に訪れる大日本帝国の街で流れるのがこの曲である。大正の帝都の雅やかな情景を表現するかのごとく、美しくなだらかに奏でられるピアノの音色が印象的で、いかにも和風な空気感を漂わせる音階が、耳馴染みする安らかな印象を与える。40秒ほどでようやく笛の主旋律が入ると、その嫋やかな旋律は、優しげでありながら芯の強さを感じさせる。ゆっくりと、しかし着実に、帝都を遍く照らす陽が昇る様子を彷彿させるような、閑雅で厳かな雰囲気に満ちあふれた一曲である。

似たような雰囲気のピアノ曲として挙げられる『犬神の里』(作曲は光田さん)とあわせて、素敵な癒しをもたらしてくれますね。一緒にどうぞ。

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