VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1116 『Lively Step』(桜庭統/スターオーシャン Till the End of Time/PS2)

www.youtube.com

トライエースがおくるRPGスターオーシャンより、

桜庭統作曲、3の『Lively Step』。交易都市ペターニで流れます。

壮大なスペースオペラを描くスターオーシャンシリーズのうち、実質的なナンバリング3作目にあたる本作。銀河の研究が進んで繁栄を極める宇宙歴772年を舞台に、紋章科学の学生である青年・フェイトは、幼馴染のソフィアと訪れた保養惑星・ハイダで正体不明の敵勢力に襲撃されたことをきっかけに、たった一人で流れ着いた未開惑星から冒険を始めることになる。従来通りのファンタジーSFを踏襲しつつ、シリーズ全体に関わる重大な設定が盛り込まれたシナリオが特徴である。戦闘は3D空間を自在に動き回れるアクション性の高いシステムを採用していて、大小2種類の通常攻撃とプロテクト(防御)による3すくみの関係や、行動に必要なGutsの管理など、テンポの良さと戦略性が両立したバトルを楽しめる。シリーズ恒例のアイテムクリエイションも健在で、各地にいるクリエイターと契約してアイテムを開発したり、作成したアイテムの特許を取って惑星内に流通させたりできるなど、いろいろ試し甲斐のある仕組みになっている。バグが多い点をはじめとする粗はあるが、システム面もシナリオ面も挑戦的な要素を詰め込んだ意欲作に仕上がっている。後にバグを修正し、追加要素を加えたディレクターズカット版が登場した。

本作の音楽を担当するのは桜庭統氏。トライエース作品ではおなじみのフリーランスの作曲家で、スターオーシャンシリーズには初代から欠かさず参加している。本作ではオーケストラと生バンドとプログレが融合したサウンドを中心にしつつ、なかにはラップを取り入れるなどの変わり種も含まれる。また、ディレクターズカット版では複数の新曲が追加されている。サウンドトラックについては、Vol.1とVol.2に分かれて収録したものと、ディレクターズカット版の追加曲を収録したものがそれぞれ存在する。

交易都市ペターニで流れるのがこの曲である。交易拠点として賑わう街で、ここにきて初めて前述のアイテムクリエイションができるようになる。笛やハープ、ストリングスによる優美で愉快なアンサンブルに、軽やかに拍を刻む音を組み合わせることで、いかにも交易都市にふさわしい楽しげで活気あふれる印象を与える。抜群の清涼感を誇る主旋律はもちろんのこと、伴奏においても非常に瑞々しく響く木管楽器が魅力的で、とりわけ33秒頃からは木管の音色をたっぷりフィーチャーした華やかな間奏が奏でられる。サビを迎える52秒以降はバイオリンやタンバリンを加えていっそう賑やかに盛り上がり、さらにもう一段階、1分20秒過ぎから舞い踊るように軽快な演奏を披露する。いつまでも時間を忘れてクリエイションにのめり込めるような、とても前向きな没入感に満ちた一曲である。

この曲を紹介してほしいというリクエストをいただきました。聴けば聴くほど気分が好くなっていく感じのする素敵な曲ですね。