VGM格納庫

Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#1395 『惑星間移動』(増子司/コスモタンク/GB)

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アトラスがおくるシューティング・コスモタンクより、

増子司作曲、『惑星間移動』(仮称)。惑星間移動の際に流れます。

女神転生シリーズで知られるアトラス製の初期の作品である本作。人類が宇宙進出した時代を舞台に、相次ぐ謎の昆虫軍の侵略に対抗すべく、人類の希望を託された宇宙戦車・コスモタンクが出撃することになる。5つの惑星にそれぞれ潜む生体コアを破壊するのが目的で、場面に応じて2Dシーン、3Dシーン、スペースシューティングの3種類の異なるゲーム性が用意されている。惑星内の屋外にいるときは2Dシーンであり、見下ろし型の8方向任意スクロールシューティングの要領で進めていく。惑星内の洞窟に入ると3Dシーンになり、コクピット視点で3DダンジョンRPG風の移動と戦闘をおこなう。別の惑星へ向かう際はスペースシューティングの要領で2D強制縦スクロールに切り替わる。経験値と自機の機能拡張の概念があり、レベルを上げて体力や攻撃力を強化したり、ユニットを装着して特殊地形が通行可能になったり新たな攻撃手段を得られたりできる。また、メインとなるクエストモードのほかに、制限時間内に敵を倒すトレーニングモード、通信ケーブルで競うVSモードも収録されている。そこそこ万遍なく多彩な遊びを楽しめる仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは増子司氏。当時アトラスに所属していた作曲家である。スタッフロールでは音屋という肩書のもとで、まっこ名義でクレジットされている。例によって作曲から効果音制作、サウンドドライバの作成までひっくるめて手がけていたようである。宇宙SFの世界観と昆虫軍が蔓延る不気味な作風を表現するにあたって、本作では曲ごとにメリハリをつけている。高音を活かした焦燥感漂うもの、軍歌の如く重く規則正しいもの、打って変わって爽快で疾走感あふれるものなど、GB音源のポテンシャルを引き出した楽曲群が揃っている。サウンドトラックは未発売のため、曲名は便宜上の仮称とする。

惑星間移動の際に流れるのがこの曲である。前述の通り2D強制縦スクロールで進むことになる。スクロール速度はそれほど速くないが、別の惑星に向かって一直線で航行するシーンを彩るにあたって、この曲にはまるで無敵BGMに通ずるような快速な勢いがある。曲冒頭から気持ち良く伸びる主旋律と、その下でリズミカルに刻まれるベースとドラムを組み合わせることで、一切の憂いもなく突き進んでいくさまを印象付ける。11秒からは伸び伸びとした雰囲気が薄れる分、細かく音階を行き来するアルペジオを奏でてエンジン全開のノリを生み出す。基本的には終始順風満帆な曲調だが、21秒からの主旋律とアルペジオの掛け合いからは、ただ楽観的なだけではなくて確かな使命感を帯びているように感じられる。曲終盤の31~32秒では滑らかに音階を駆け上ってさっぱり爽やかな後味を残しながら次のループへと繋いでいく。絶好調な一曲である。

とても心が弾みますね。他にも良曲揃いで、2Dシーンの曲は後半に驚きがあって良いですし、タイトル画面の曲も後半の変わり具合が格好良いですよね。両方あわせてどうぞ。

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