日本マイコン開発がおくるアクション・サイキック5より、
坂本慎一作曲、『ブンタのテーマ』。ブンタのテーマとして流れます。
日本マイコン開発の初期の作品として、ジャレコが発売した本作。迷路に待ち構える大魔王を打倒すべく、5人のエスパーたちが立ち向かうことになる。全8面構成のサイドビュー型2D探索アクションで、ステージ内に設置された電話ボックスで操作キャラを切り替えながら進めていく。開始時は2人しか選べないが、残る3人は道中で救出することで選択可能となり、それぞれジャンプ・ホバー・パワー・アタックの適性が異なる。ステージは仕掛け満載で入り組んでいて、高い壁をジャンプで越えたり、鉄の扉をパワーでこじ開けたり、ときに行く手を阻む炎や消える床に悩まされたりしつつ制限時間内でのクリアを目指す。道中には様々なアイテムがあり、全能力強化や制限時間延長といった攻略の助けとなるもののほかに、スコア稼ぎに重宝する加点や倍率上昇アイテムなども存在する。また、ステージを飛び回る魔女を叩き落とすと箒を奪って一時的に無敵な飛行状態に突入できる。ギミックや時間制限は厳しく歯応えがある分、プレイヤーに有利に働く要素や取れる選択肢が潤沢に用意されていて、自分なりの攻略法を見出す楽しさを味わえる。手堅くそつなくまとまった仕上がりとなっている。後にエスパ冒険隊という題でファミコンにアレンジ移植されたほか、スイッチ向けにリメイクされた。
本作の音楽を担当するのは坂本慎一氏。スタッフロールではCHEABOW名義でクレジットされている。当時、日本マイコン開発(NMK)に所属していた作曲家で、本作は氏にとってウエストンに移籍する前のNMK時代最後の担当作品である。本作では超能力使いの少年少女(と老爺)が活躍するジャンプアクションというコンセプトにふさわしい、軽快かつ使命感漂うメロディアスな楽曲が揃っている。ステージごとの道中曲が存在しない代わりに、キャラごとにテーマ曲が用意されていて、電話ボックスでメンバーチェンジするとそのキャラのテーマが流れるようになる仕組みである。サウンドトラックについては、ジャレコのアーケードアクション作品群をまとめたディスクに本作の楽曲が収録されているほか、本作単体でも各種デジタルストアで配信されている。
ブンタのテーマとして、彼を操作する際に流れるのがこの曲である。ブンタは太っちょの少年で、全キャラ屈指のパワーと高めのアタック性能を持つ代わりに動きが鈍い、典型的な力自慢系のキャラである。その鈍重さとは裏腹に、この曲は各キャラのテーマのなかで最もアップテンポで疾走感にあふれたキラーチューンに仕上がっている。高音を中心に小気味良く響く音色、低音を中心に小刻みに響く音色、その双方を支える打楽器を組み合わせて、イントロから抜群のリズム感を生む。7秒頃から合間に挟まるようにして中音域の主旋律が加わると、イントロの時点でキャッチーだったがさらに快い響きを帯びていく。20秒頃では低めの音でフレーズが始まるが、25~26秒頃には高みに達し、けれど27秒にはまた一旦低いところから始まるなど、短い間隔で目まぐるしく変化する点が特徴である。とりわけ34~40秒のフレーズはシンプルながらも非常に鮮やかで潔い印象に満ち満ちていて、これ以降はしばらく高音域に留まり続ける。47秒からのフレーズは7秒でみられたものと同じだがオクターブが上がっていて、1分で通常に戻ってループに入るまで高まった気勢が維持される。鈍重さよりも頼もしさや逞しさに力点を置いてブンタの性質を表現した一曲である。
見事な格好良さですね。