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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#971 『万物を喰らう龍』(梅垣ルナ/Dragon Marked For Death/NS)

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インティクリエイツがおくるアクションRPG・Dragon Marked For Deathより、

梅垣ルナ作曲、『万物を喰らう龍』。ラスボス戦で流れます。

ロックマンゼロシリーズの開発で知られるインティ・クリエイツによる完全新作ARPGとして登場した本作。かつて古龍と白神が相争い、勝利した白神の勢力が台頭するレムリア大陸を舞台に、敗残した古龍の力を受け継ぐ龍血の一族は、ある日、白神の聖騎士団により故郷を強襲され、巫女をさらわれ、一族の若者である主人公が復讐のために立ち上がることになる。能力の異なる4人(+追加で2人)の主人公から一人を選択し、討伐や護衛などのクエストをこなしていく。アクションはトレハン要素ありのハクスラ寄りで、最大4人までのマルチプレイに対応していることからか、ゲームバランスはシビアで難易度は高めとなっている。緻密に描き込まれたドット絵のグラフィックとダークファンタジー調の世界観が特徴で、再三にわたるアップデートを経て、全体のバランスや遊びやすさが大幅に調整された。後にSteamやPS4に移植された。

本作の音楽を担当するのはインティ・クリエイツサウンドチームであるIIIの面々(礒谷浩生氏、梅垣ルナ氏、川上領氏、武田葵氏、山田一法氏、吉永涼氏)。編曲で同じくIII所属の佐藤裕之氏や、外部のサウンドクリエイターとして仲間将太氏、TAKUYA氏なども参加している。本作では重厚な作風を彩るにあたって、仲間氏率いるVideo Game Orchestraによる生演奏のフルオーケストラサウンドを収録していて、レムリア大陸各地の風土にあわせて、クラシカルな曲調からエキゾチックな曲調まで、地方色豊かな音が揃っている。また、楽曲の随所に主題歌のフレーズを取り入れている。サウンドトラックはスイッチの限定版に同梱されているほか、一般販売もされている。

ラスボス戦の最終形態で流れるのがこの曲である。古龍の力を宿して復讐のために戦い抜いてきた主人公の前に立ちはだかるラスボスとの最後の激闘を、シンバルやオーケストラヒットを多用したイントロで開始早々力強く印象付ける。次いで奏でられる弦楽器のしなやかなメロディーと裏で支える管楽器の音色は、主題歌『家路(ファラナジャ)』のフレーズを借りつつ、ボーカルの代わりに器楽で魅せてくれるような美しさにあふれている。36秒からフルートとバイオリンが代わる代わる主旋律を紡ぐことで、切なくも勇ましい疾走感を漂わせる。終始威圧的な勢いに満ちているが、それでいて哀愁をも感じさせる、まさに復讐の旅路の果ての最終決戦らしい悲壮感に満ちた一曲である。

ああ、これが最後だな、と直感で分かるような戦闘曲ですよね。主題歌(作曲は山田さん)もあわせてどうぞ。

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