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Video-Game Music Registry:好きなゲーム音楽を隔日更新で紹介します。

#839 『Face-off』(佐藤琢馬/株トレーダー瞬/NDS)

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インティクリエイツがおくる株トレードアドベンチャー株トレーダー瞬より、

佐藤琢馬作曲、『Face-off』。バーサストレードで流れます。

上記動画の13:00から15:10まで。

株をテーマにしたアドベンチャーとして登場した本作。一時は伝説の相場師と呼ばれるも、5年前に破産したきり失踪した父を持つ青年・相場瞬は、父の唯一の弟子だった敏腕トレーダー・奈良崎透に師事し、株の世界へと飛び込むことになる。株取引の基礎を一から学びつつ、リアルタイムで変動する株価のチャートを読み解いてトレードを実践していく。トレードには一人で黙々と株売買をおこなうソロトレードと、トレーダー同士で対戦するバーサストレードがあり、対人戦ではキャラごとに固有のトレーディングアーツ(必殺技)を駆使して戦況を有利に変えられる。株用語の解説が充実しているため、未経験者にも親しみやすい仕上がりとなっている。

本作の音楽を担当するのは佐藤琢馬(拓馬)氏、谷本貴義氏、山田一法氏。サウンドデザインおよびプロデュースを兼任している山田氏はインティクリエイツに所属する作曲家で、佐藤氏はフリーランスのピアニスト兼作曲家、谷本氏は自身が代表を務める音楽制作会社テンテンカンパニーのシンガーソングライターである。このうち谷本氏は1曲(編曲)のみの参加である。本作ではじっくり市況を分析する株の世界を表現するにあたって、電子音楽調の楽曲が多く揃っていて、冷静さと大胆さを併せ持つスタイリッシュなサウンドを堪能することができる。サウンドトラックはPVで使われた音源やボーカルアレンジなどのボーナストラックも含めて収録されている。

バーサストレード、本作の醍醐味とも言える対人戦において流れるのがこの曲である。一定時間内に相手より多く儲けるスタンダードや、相手より先に8連続で利確する8ショット8キルなど、様々な対戦ルールがあり、自分の利益だけでなく相手の動向にも注目する必要があるが、この曲はそうした緊迫した駆け引きを鮮やかに彩ってくれる。リズミカルに紡がれる電子音に、一定間隔で和音を奏でるピアノの伴奏が重なることで、ラウンジミュージックのような落ち着きと、ハウスミュージックのような独特なノリの良さが見事に絡み合う。集中力を研ぎ澄ませるにはお誂え向きな一曲である。

これも広義の戦闘曲という括りにしてしまって良いでしょうか。ちなみに曲名は「直接対決」という意味の慣用表現です。