インティ・クリエイツがおくるレトロスタイルアクション、Bloodstainedより、
武田葵作曲・山田一法編曲、Curse of the Moonの『Malicious Intent』。
ステージ7「禁忌嘲る悪魔の手」で流れます。
悪魔城ドラキュラシリーズのプロデューサーなどで知られる元コナミの五十嵐孝司氏が独立後初めて手がけた本作。開発には全面的にインティ・クリエイツが関わっていて、80年代のステージクリア型サイドビュー2Dアクションの雰囲気が忠実に再現されている。剣、鞭、錬金術、さらには蝙蝠に変身する術を使う四人のキャラクターを適宜切り替えながら探索を進めていくことになり、8bitを思わせる簡素で奥深いグラフィックが醸すゴシックホラー風の懐かしくも新しい世界観が魅力である。難易度、ゲームバランスともに程よく調整されていて、総じて悪魔城らしさをうまく受け継いだ手堅い仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは山根ミチル氏を中心に、川上領氏、佐藤巧氏、佐野広明氏、武田葵氏、山田一法氏、吉永涼氏の合計七名である。このうち山根氏は悪魔城シリーズでも作曲経験のあるフリーランスの作曲家で、他はいずれもインティ・クリエイツのサウンドスタッフである。レトロな作風にあわせて、本作の楽曲もチップチューンに統一されていて、III(インティ・クリエイツのサウンドチーム)が得意とする疾走感に満ちた曲調に、悪魔城譲りのダークでキャッチーなエッセンスが加わった出来映えとなっている。サウンドトラックはパッケージ版の限定特典として同梱されている。
ステージ7「禁忌嘲る悪魔の手」で流れるのがこの曲である。ここは一周目のノーマルモードでは最終面の一つ前という位置付けであり、巨大な書庫が印象的な城内ステージだが、そこから連想し得る静謐さや優雅さとは一味違う、情熱あふれる音色が特徴である。出だしからぐっとクライマックスの機運を盛り上げてくれる旋律は、35秒あたりのサビでさらに勇ましく展開し、疾駆する感覚を強く印象付ける。チップチューン音源だからこそいっそう映えるような、パワフルな昂揚感に満ちている。曲名の意味はずばり悪意だが、悪意を上回るほどの純然たる決意を感じさせる一曲である。
禁忌嘲る悪魔の手、って語感が良くて好きです。