永野椎菜作曲、松本梨香×松原剛志×川添智久歌唱、フルブラストの『WIN THE BATTLE』。
主題歌としてオープニングで流れます。
デフォルメされたロボットたちが集うコンパチヒーローシリーズのなかのグレイトバトルシリーズのうち、ナンバリングに連なる本編作品として15年ぶりに登場した本作。荒廃した惑星アイリスが秘める紫水晶の力により三つの世界が一つ所に集められ、それぞれの悪の軍団が全宇宙の支配を目論むなか、ウルトラマンと仮面ライダーとガンダムが共に巨悪に立ち向かうことになる。各3エリア×9ミッションから成る横スクロールアクションで、6人の主人公から3人選んで適宜切り替えながら進めていく。ウルトラ系はバランス型で空中ホバリング可能、ライダー系は近接コンボ特化、ガンダム系は遠距離中心の高機動型、とそれぞれ特色があり、三つ巴の相性が設定されている。ボイス付きで放つ必殺技は固有で、主人公ごとに操作感が変わる。プレイアブルの他に計36人のアシストキャラが登場し、攻撃やバフなど原作由来の強力なサポート技を披露してくれる。通常のクリア目的以外にも、条件を満たすことで獲得できるエンブレムがあり、ステージ数が限られるなかでもやりこみ要素が存在する。コンパチらしいアレンジ色は控えめで原作再現を重視している傾向にあり、従来の作品とはやや作風が異なるものの、総じてすっきりまとめられた仕上がりとなっている。
本作の音楽を担当するのは礒谷浩生氏、川上領氏、畑添美菜氏、若林嵩継氏、青山梨香氏。磯谷氏と畑添氏は当時、川上氏は現在もインティ・クリエイツ(本作の開発元)に所属する作曲家で、三名とも効果音制作を兼任している。若林氏はフリーランスの作曲家で、名前をカタカナにした若林タカツグ名義でも知られる。青山氏に関しては情報がすくなく判然としない。2つある主題歌の片方は音楽ユニット・TWO-MIXの永野椎菜氏が、もう片方は河野陽吾氏が作曲し、原作シリーズゆかりの大物歌手をボーカルに起用している。本作では原作再現の一環として版権曲が多く用いられていて、ここぞというシーンで熱く盛り上げてくれる。また、カスタムサウンドトラック機能に対応していて自分好みに作中のBGMを設定できる点が特徴的で、作中の収録曲のなかから選ぶだけでなく外部デバイスから取り込んで流すことも可能である。本作そのもののサウンドトラックは未発売だが、主題歌のコンピレーションアルバムが限定盤に付属されていた。
オープニングで流れるのがこの曲である。仮面ライダー龍騎より松本梨香氏、ウルトラマンシリーズより松原剛志氏、機動戦士Vガンダムより川添智久氏を迎えたトリプルボーカルのヒーローソングで、カートゥーン調のアニメーションで彩られる。手始めに神秘と熾烈さが絡み合ったイントロを奏でつつ、9秒からはっきりとエレキギターの旋律が響くようになって情熱的なノリを生む。19秒から松本梨香氏が先鋒を務めて芯の強い歌声を披露し、バックにはピアノやシンセを散りばめることで熱さとクールさをバランスよく両立させている。曲が進むにつれて一人の歌声ではなく複数人で低音を支えたり徐々に声が交じり合ったりする様子がみられる。特に59秒~1分2秒で一旦ボーカルが抜けてからサビへと突入するくだりは冴えていて、続けて高めの音域で力を込めて歌うことで惚れ惚れするほどの格好良さを感じさせる。サビ終盤の「仰ぎ見る空は綺麗だろう だから誓うのさ WIN THE BATTLE」というパートは、歌詞そのものの直感的な気持ち良さに、歌声が重なり合う爽快感、フレーズ終わりのギターアウトロの決まり具合がばっちり嵌まっている。夢の共演の魅力が凝縮された一曲である。
フル尺もぜひ聴きましょう! 3分過ぎのギターパートからのDメロがぐっと来ます。